
こんにちわ、合同会社トビガスマル代表の廣瀬です。
私たちはこれまで、岡山県新見市を拠点に、地方の観光や産業の可能性を「映像」や「言葉」の力で引き出してきました。
そしていま、新しい表現手段として注目しているのが、中国のSNSです。
InstagramもGoogleも使えない中国。けれど、そこで生活する13億人以上の人たちは、WeChat(微信)やRED(小紅書)、Douyin(抖音)といった独自のSNSで、旅先を探し、商品を知り、次の“お気に入り”を見つけています。
この記事では、そんな中国SNSの最新トレンドをわかりやすく解説しつつ、地方自治体が「観光誘致」「特産品の販路拡大」「定住促進」にどう活用できるのかを、現場感と実例を交えて丁寧にお届けします。
ただ情報を流すのではなく、“物語を伝え、関係を築く”時代へ。
地方から、SNS越しに世界とつながる方法、いっしょに探ってみませんか?
目次
なぜ中国SNSマーケティングが重要なのか?
日本の地方が、中国という巨大市場とつながる手段として、SNSは“最も現実的な橋渡し”のひとつです。
なかでも近年、私たちが注目しているのが中国の若年層に支持されているSNS、たとえばRED(小紅書)やWeChat、Douyinなど。 これらのSNSが単なる情報発信ツールではなく、観光、購買、移住の「意思決定エンジン」として機能している現実を、私たちはプロジェクトを通して肌で感じています。
巨大な中国市場とSNSの影響力
コロナ前、訪日観光客の約3割を占めていた中国人旅行者。 2024年以降、その流れは再び加速し始めています。円安も後押しとなり、“日本=買い物と癒しの国”という再評価が進んでいるからです。
しかも、彼らが次の旅先を選ぶ基準は明確です。
それは、「SNSで誰かが行っていた場所かどうか」。 私たちがGoogleで調べるように、中国のZ世代はREDやWeChatで検索し、その人らしい体験がある場所を選ぶのです。
グレート・ファイアウォールと独自のSNS環境
中国では、GoogleやInstagram、YouTubeなど私たちが日常的に使っているSNSはアクセスできません。 その代わりに使われているのが、WeChat(微信)、RED(小紅書)、Douyin(抖音)といった独自の巨大SNS群です。
つまり、私たちがいくらGoogleやInstagramに情報を載せても、中国の旅行者にはそもそも届かない。 “存在していないも同然”という、情報格差の壁がそこにはあります。
このギャップを埋める唯一の方法が、中国SNSで“見つけてもらえる状態”をつくることなのです。
中国SNSマーケティングの成功事例
すでにいくつかの地方自治体では、SNSマーケティングを通じて確かな手応えを感じ始めています。
たとえば愛媛県では、2023年に在日中国人インフルエンサーを活用したRED施策を実施。 松山城や道後温泉の投稿がREDで拡散され、中国語圏での「愛媛」検索数が目に見えて増加したといいます。
これは観光誘致に限りません。 地方の地場産品を「中国から注文される商品」に変えることも、 地域の暮らしぶりを伝えて移住・関係人口につなげることも可能です。
そして、今ならまだ間に合います。 REDやWeibo、Douyinにおいて、地方都市の情報はまだ圧倒的に不足している。 だからこそ、「いま発信する価値」があるのです。
主要中国SNSプラットフォーム徹底解説
中国SNSと一口に言っても、その性格やユーザー層、拡散力には大きな違いがあります。
ここでは、地方自治体が中国向けの情報発信を行ううえで知っておきたい4大プラットフォームについて、特徴と活用のポイントを整理します。
WeChat(微信):生活に溶け込む“連絡網+情報源”
中国で最も多く使われているアプリがWeChat。月間アクティブユーザーは13億人を超え、チャット・ニュース・決済・予約など、生活のあらゆるシーンを1つで完結できる“スーパーアプリ”です。
地方自治体にとっての活用法:
- 公式アカウントを開設し、観光情報・お知らせ・イベントを定期配信
- 訪日経験者や在日中国人をフォロワーに囲い込み、関係人口として育成
- ミニプログラムを活用してクーポン配信や簡易な予約受付にも対応可能
深く長くつながる場として、リピーターや関係づくりを重視する施策に適しています。
Douyin(抖音):圧倒的拡散力を持つショート動画空間
Douyin(ドウイン)は、中国版TikTok。都市部の若者を中心に日常的に視聴されており、観光地や体験コンテンツのショート動画と非常に相性が良いのが特長です。
地方自治体にとっての活用法:
- 「絶景スポット」「食レポ」「地元の人との交流」などをテンポよく動画化
- ハッシュタグ×流行音楽を組み合わせて自然な拡散を狙う
- ライブ配信による観光地案内や物産PRも可能
とにかく“バズる可能性がある媒体”なので、写真よりも動画映えする素材を持つ地域にはおすすめです。
Weibo(微博):ニュース性と拡散性に優れた中国版Twitter
Weiboは中国版のX(旧Twitter)のような存在で、ユーザー同士のリアルタイムなやりとりやトレンド拡散に強みを持ちます。
地方自治体にとっての活用法:
- 観光・文化イベントなど“タイムリーな話題”の発信に最適
- 著名人やKOLの投稿と連動したハッシュタグ施策も有効
- コメント機能を活用し、双方向の交流を図る
即時性が高いため、キャンペーン告知やトレンド施策と連動した運用に向いています。
RED(小紅書):Z世代に刺さる“共感と体験”の発信地
RED(小紅書)は、旅行・ファッション・食・ライフスタイルの口コミ共有を軸とするSNS。 “映える”より“リアル”な体験重視の空気感があり、観光・特産品・人との出会いなどストーリー性ある地方コンテンツと非常に相性が良いです。
地方自治体にとっての活用法:
- 地元の飲食・文化体験・宿泊をKOLや在日中国人インフルエンサーに体験発信してもらう
- 自分たちでも投稿を蓄積し、検索される街・商品になる
- 将来的には越境ECやライブコマースと連動させ、販路拡大も視野に
“誰かの旅の1ページ”を演出できる地域なら、REDはもっとも強力な味方になります。
以上のように、SNSごとにターゲット・活用スタイル・成果の出方が異なります。
地域の資源や目標に合わせて使い分ける戦略的な視点が、成功への第一歩です。
中国SNSマーケティングで成功するための秘訣
中国SNSは可能性に満ちた市場ですが、ただ投稿するだけでは成果は出ません。
情報があふれる今、選ばれる自治体・商品になるには、ターゲット・コンテンツ・継続性の3つを軸に戦略を立てることが大切です。
ターゲット顧客の明確化
まず大前提として、“誰に伝えたいのか”を明確にすることがすべての出発点です。
例えば…
- 20代の女性旅行者 → RED × 癒し・体験・カフェ
- 親子連れ → WeChat × ファミリー向けモデルコース
- 都市在住の健康志向層 → Douyin × 地元野菜・自然体験
ペルソナ(理想の訪問者像)を描いておくと、どのSNSを使うべきか、どんなコンテンツが響くかが一気に明確になります。
質の高いコンテンツ制作
中国SNSでは、広告っぽさを感じさせない“リアルな体験”がもっとも信頼されます。
「プロが作った完璧なPR映像」より、“実際に行った人の目線で語る投稿”のほうが刺さる時代です。
具体的には:
- 現地の人との交流エピソード
- 知られざるスポットに出会った驚き
- 味・におい・空気感まで感じる描写
さらに、中国語表現やビジュアルの作り方には文化的な“勘どころ”があります。 翻訳ではなく、ネイティブ感覚を持った発信ができるよう、外部人材の活用も視野に入れてください。
データ分析とPDCAサイクル
SNS運用は、やって終わりではなく“育てていく”プロセスです。
投稿後の反応を見て、次の一手を改善していく。 たとえば:
- 「風景写真より、食べ物の投稿の方が保存されている」
- 「動画より、テキスト多めの体験談が反響あり」
こうした仮説検証を重ねていくことで、「この地域の発信は信頼できる」というブランドが築かれていきます。
自治体のSNSも、いつしか“検索される情報源”になる。その土台づくりには、PDCAの意識が欠かせません。
中国SNSマーケティングの注意点
中国SNSには大きなチャンスがありますが、当然ながらリスクや制約も存在します。
特に地方自治体のような公共性の高い組織が運用する場合は、「知らなかった」では済まされないポイントがいくつかあります。
法律・規制の遵守
中国では情報発信に対して厳格な検閲・法規制が存在します。
たとえば:
- 地図や領土に関する記述(台湾、尖閣諸島など)
- 医療・健康効果に関する表現
- 宗教・政治に関連する発言
投稿前には、現地事情に詳しいパートナーやコンサルタントの確認を受けることがリスク回避の第一歩です。
炎上対策
中国SNSは拡散スピードが速く、批判が一気に広がるリスクもあります。
たとえば、「過度な演出」「事実と異なる説明」「文化的配慮を欠いた表現」などが、意図せぬバッシングの火種になることも。
対策として:
- ネガティブコメントがついたときの対応方針をあらかじめ決めておく
- 翻訳ではなく、現地ネイティブの言葉感覚で伝える
- 無理に“バズらせよう”とせず、誠実な発信を心がける
長く信頼されるブランドは、丁寧な発信の積み重ねから生まれます。
変化への対応
中国のSNSは、とにかく進化が早い。
半年でトレンドが変わる。1年で主流アプリが入れ替わる。 アルゴリズムや機能も頻繁にアップデートされます。
そのため、
- 「1回やって終わり」ではなく、継続できる仕組みをつくる
- 定期的に中国SNSの動向をチェックし、柔軟に戦略を見直す
外部パートナーと連携しつつ、自治体内にも“変化を受け入れる土壌”を育てていくことが、持続的な成功につながります。
まとめ:中国SNSマーケティングで成功を掴む
いま、地方が中国とつながるには、「広く届ける」よりも“深く伝える”視点が求められています。
そしてそれを可能にするのが、小紅書(RED)をはじめとする中国SNSの力です。
本記事で紹介したように、
- 中国ではGoogleもInstagramも使えない
- だからこそ、WeChat・RED・Douyinが“すべて”
- そしてそのSNSは、旅先も、買い物も、暮らしも決める
情報を届けたいなら、そこに“存在する”必要がある。
これは、いま日本の地方が直面する最前線の現実です。
地方が勝てる余白は、まだある
東京や京都ではなく、新見、日南、松江…。
中国SNSでは、まだまだ「知られていない地方」が注目される余地があります。
それは、今だけのブルーオーシャン。
そして、「知られていない」という弱みが、“見つけられたときの感動”につながる強みに変わる瞬間でもあります。
一発勝負ではなく、育てる戦略を
中国SNSマーケティングは、広告のように一度出して終わるものではありません。
むしろ大切なのは、
- 誰に届けたいのかを見極める
- 何を語るのかを磨く
- どんな関係を築きたいのかを考える
そうした丁寧な姿勢こそが、誠実な地域ブランドづくりにつながり、結果として観光・物産・関係人口の拡大へとつながっていくのだと、私たちは信じています。

私たちトビガスマルは、小紅書(RED)を活用したインバウンド戦略に、現場から取り組んでいます。
「何を、誰に、どこで、どうやって伝えるか」。それは映像もSNSも同じです。
もし、「うちの町の魅力も、もっと届いていいはず」と感じている方がいれば、ぜひ一度ご相談ください。
“地方から、世界とつながる”。その第一歩を、いっしょに踏み出しましょう。

2025.01.14
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