動画制作・映像制作のご相談なら。岡山を中心に全国対応。

【エッセイ】地方から世界へ─新見YEGが仕掛ける“小紅書”を活用した中国インバウンド誘致戦略

代表社員 廣瀬高之

こんにちわ、合同会社トビガスマル代表社員の廣瀬です。
岡山県新見市。人口2万5000人のこの地方都市がいま、中国SNS「小紅書(RED)」を活用し、インバウンド誘致の新たなモデルづくりに挑んでいます。

この事業は、私や弊社役員が所属している新見商工会議所青年部(新見YEG)が提案し、令和7年度の新見市「公募型まちづくり事業」として採択されました。

日本各地で観光戦略の見直しが進む中、なぜ“いま中国”? なぜ“小紅書”?
そして、なぜ地方都市・新見市がこの戦略で先行するのか?
その理由と可能性を、あらためて掘り下げてみましょう。

なぜ“いま中国”なのか?──5つの現実的な理由

1. 圧倒的な市場規模

コロナ前、訪日外国人旅行者のうち約30%を占めていたのが中国人観光客。しかも、旅行中の消費額も非常に高く、地方にとっての経済波及効果は計り知れません。

2. 個人旅行(FIT)化による地方志向の高まり

団体ツアーより、静かな自然や人との交流を求めて地方を旅する人が増加。新見市のような中山間地域は、まさに“穴場”として再注目されています。

3. 情報源の変化=GoogleではなくSNS検索

InstagramやGoogleが使えない中国では、「小紅書」で旅行先を検索するのが一般的。
つまり、“REDに載っていない=存在しない”に等しいのです。

4. 質の高い観光客が増えている

マナーや教養に対する不安が語られた時代は過去のもの。今の中国旅行者は、SNSでの発信を前提とした感度の高い個人が多く、地方を丁寧に楽しんでくれる層が中心です。

5. 日本の地方には、まだ届いていない

東京・京都のような大都市に比べ、地方の情報はRED上でも圧倒的に少ない。
だからこそ、“いま始める”ことがブルーオーシャン戦略になり得るのです。

小紅書(RED)とは?──中国のZ世代が頼る“体験型SNS”

小紅書(Xiaohongshu/RED)は、中国の若年層~30代を中心に愛用される“ライフスタイル系SNS”です。

  • Instagramのようにビジュアル中心
  • ブログのように長文レビューが主流
  • そして、ECや旅行の意思決定と直結している
  •  

    この「SNS=検索エンジン」のような使われ方は、インバウンド施策と非常に相性がよく、特に“物語”や“体験”のある地域発信が強く刺さります。

    新見YEGの挑戦──「公募型まちづくり事業」として本格始動

    この戦略的な取り組みを提案・実行しているのが、新見YEGです。

    新見市の「公募型まちづくり事業」の一環として以下のような構成で事業を展開しています。

    事業の3本柱

    ① 学ぶ:小紅書セミナーの開催

    REDの基本的な仕組みから、投稿の作法、アルゴリズム、ターゲット戦略までを学ぶセミナーを開催。専門のコンサルタントによる伴走支援もスタート。

    ② 実践する:インフルエンサーの招聘

    中国圏で影響力を持つインフルエンサーを新見市に招き、実際に観光・体験・グルメを楽しんでもらい、それをREDで発信してもらいます。

    ③ 広げる:ライブコマースと横展開

    今後は、REDでの発信をきっかけに「ライブコマース」や「越境EC」に展開。観光誘致だけでなく、地元産品の販路拡大にもつなげていきます。

    なぜ地方にとって“ブルーオーシャン”なのか?

    新見YEGが小紅書を選んだ最大の理由は、「地方の情報がまだRED上にほとんど存在していない」点にあります。

    つまり、地方都市にとっては:

  • 投稿されれば目立ちやすい
  • 共感を得れば拡散しやすい
  • 成果が出れば全国YEGのモデルとなり得る
  •  

    そんな状況が“いまだけ”開かれている。
    これこそが、ブルーオーシャンです。

    よくある誤解:中国インバウンドは質が悪い?

    この懸念にも、正面から答えておきます。

    確かに10年前、団体旅行客による騒音やマナー問題が取り沙汰された時期はありました。
    しかし現在はまったく違います。

  • 旅行者は個人化・知的化している
  • SNSでの自己発信を前提としている
  • 日本文化へのリスペクトも強い
  •  

    むしろ、こうした層に“丁寧に届く情報”を発信することで、観光地とファンとの良質な関係が生まれるのです。

    最後に:地方から始める、次の観光戦略

    全国の自治体や団体が「インバウンド強化」と言いますが、“どの国に、どのSNSで、どの層に”向けて発信するかを明確にしているところは少ないのが現状です。

    だからこそ、新見YEGの挑戦には意味があると思います。

  • 中国という最大市場
  • 小紅書という成長中プラットフォーム
  • “語るべき物語”を持つ地方都市
  •  

    この3つを組み合わせた取り組みは、観光誘致を超えて、地域のブランドづくりや関係人口の創出にもつながる可能性を秘めています。

    コメント

    この記事へのトラックバックはありません。

    関連記事

    TOP