
こんにちは。映像制作会社トビガスマルの廣瀬です。
「フレームレートって、24fpsと30fpsどっちがいいの?」
「60fpsだとヌルヌルして見えるけど、プロっぽくない?」
こんな会話、編集の現場でもよく出ます。
そしてこれ、意外と“なんとなく”で設定されてるケース、多いんですよね。
でも実は、フレームレート(fps)って映像の印象を左右する超・重要ポイント。
「映画っぽく見せたい」「臨場感を出したい」「YouTubeで滑らかに再生されるようにしたい」
そんな狙いに合わせて、fpsはちゃんと選ぶべきなんです。
この記事では、私たちが日々の現場で体感してきた「用途別おすすめ設定」や「よくある失敗」まで、
初心者にもプロにも役立つ視点でわかりやすく解説します。
「映像がなんか惜しい…」と感じていたあなたへ、
その原因、fpsかもしれませんよ?
目次
フレームレートとは?基本の解説から用途別設定まで
フレームレート(fps)とは、1秒間に表示される画像の枚数を表す数値です。 たとえば「30fps」とは「1秒間に30枚の静止画を連続再生している」ということ。 この数値が高いほど、映像はなめらかに見えるようになります。
基本用語と意味
fps(frames per second) | 意味 |
---|---|
24fps | 映画やドラマなどで使われる標準的なフレームレート。シネマティックな印象 |
30fps | テレビやYouTubeなどの配信でよく使われる。自然なリアルさ |
60fps | スポーツやゲーム実況など、動きの多い映像に。非常になめらか |
120fps〜 | スローモーション用。通常再生ではデータが重い |
fpsが違うとどう見える?
fpsの違いは、「動画の印象」そのものを変えてしまいます。
- 24fps: 映画のような“雰囲気”や“余韻”を感じさせる
- 30fps: リアルな視点で、安定した視聴体験を提供
- 60fps: 目の前で動いているような臨場感・ぬるぬる感
つまり、フレームレートは「技術」だけじゃなく、表現の一部なんです。 どう見せたいか? どう感じさせたいか? そこから設定を決めると、作品の説得力が一段上がります。
様々なフレームレートの用途と違い
「とりあえず30fpsで撮っておけばOKでしょ?」── 確かに万能ではありますが、動画の種類や目的によって、最適なフレームレートは変わってきます。
ここでは、ジャンル別におすすめのfpsと、その理由をわかりやすく解説します。
24fps:映画やドラマに
映画=24fpsというのは、いまや世界標準です。
- 人の視覚にちょうどいい“間”があり、落ち着いた印象に
- “映画っぽさ”=24fps独特のパラパラ感(これが逆に味になる)
- シネマティックな演出やナレーション映像との相性抜群
トビガスマルでも、式典映像やプロモーション動画で「雰囲気重視」の場合は24fpsをよく使います。
30fps:YouTube・SNS・プレゼン動画に
自然なリアルさと汎用性を兼ね備えた30fpsは、もっとも一般的なフレームレートです。
- 動きが自然で、YouTubeやZoom、プレゼン資料動画に最適
- ほとんどの再生環境に対応していて、トラブルも少ない
- 初心者にも安心な「まずはここから」のfps
編集でも扱いやすく、音声とのシンク(同期)ズレも起きにくいのが魅力です。
60fps:ゲーム実況・スポーツ・操作説明動画に
ヌルヌル=60fps。動きの滑らかさとリアルタイム感が求められる動画に向いています。
- ゲーム実況、格闘技、eスポーツなどの動きの激しい映像
- マウスや指先の動きを見せるチュートリアルや操作説明
- 再生時のストレスが少なく、没入感も高い
ただし、ファイルサイズが大きくなるため、保存容量やアップロード時間には注意。
120fps・240fps:スローモーション専用
動きを細かく捉えたいスローモーション撮影では、120fpsや240fpsを使います。
- 水しぶきや爆発など、一瞬の変化を美しく表現できる
- 編集ソフトで「半分の速度」にしても滑らかさを保てる
- アクションPVや製品紹介動画にも◎
ただし、通常再生では不自然&ファイルが重くなるため、「撮影時だけ高fps→編集で使う」と割り切りましょう。
フレームレートを設定する際の注意点
フレームレートは「高ければ高いほど良い」わけではありません。 設定を間違えると、画質の低下や音ズレ、編集ソフトでの不具合が発生することもあります。
ここでは動画制作・編集でありがちなミスと、その予防策を解説します。
① 撮影と編集のfpsを揃える
撮影した映像と、編集プロジェクトのfpsが一致していないと、次のような問題が起きやすくなります:
- 映像がカクつく
- 音声と映像がずれる(リップシンクが崩れる)
- 書き出し時に映像が意図せず補間される
たとえば、30fpsで撮った映像を24fpsのタイムラインで編集すると、毎秒6フレーム分が削除され、映像の滑らかさが失われる可能性があります。
ポイント: 撮影前に、編集ソフトのプロジェクト設定(fps)を先に決めておくのが安全です。
② 書き出しフォーマットに合わせたfps選び
動画をアップするプラットフォームによって、推奨fpsが異なることがあります。
プラットフォーム | 推奨fps |
---|---|
YouTube | 24, 30, 60fpsに対応(4Kも60fps対応) |
Instagram(フィード) | 30fps推奨 |
TikTok | 30〜60fps対応 |
テレビ放送 | 29.97fpsや59.94fpsなどNTSC規格 |
海外向け動画やSNS広告など、媒体に応じたfps設定を意識しましょう。
③ 高fps=高負荷。スペックに注意
60fpsや120fpsで撮影すると、
- ファイルサイズが2倍〜4倍以上になる
- 編集ソフトが重くなる・フリーズする
- スマホや低スペックPCでは再生がカクつく
トビガスマルでも、案件によってはあえて30fpsに落として運用することもあります。 クライアントの再生環境や納品形式に合わせた設計が重要です。
フレームレート設定は、「どんな環境で見られるか」まで想定して選ぶのがプロの視点。 見た目の綺麗さだけでなく、実用性・編集性・再生の安定性までを意識しておきましょう。
なぜ24fpsが“映画っぽい”のか?
「映画っぽい映像にしたい」と言われたら、まずfpsを24に落とすという選択肢が浮かびますよね。 実はこれ、心理的にも歴史的にも理由があるんです。
24fpsの独特な“間”が、感情を喚起する
24fpsは人の視覚にギリギリなめらかに見えるフレーム数。 そのわずかな「カクつき」や「間」が、現実より少し“夢の中っぽい”印象を与えます。
そのため、
- 重厚なドラマ
- 心情に寄り添うインタビュー
- ノスタルジックな旅動画
など、“空気”を伝えたい映像に24fpsは非常に効果的です。
映画業界の名残もある
もともと24fpsは、フィルム時代のコストを抑えるための決まりごと。 でもその「間」を見慣れた結果、“これが映画のテンポだ”と私たちが記憶してしまったのです。
つまり、24fps=映画っぽい という印象は、実際に映画が24fpsだったからという“文化的な刷り込み”でもあります。
まとめ:伝えたい世界観によってfpsを変える
fpsは“技術”であると同時に、“演出”でもあります。 なめらかさを取るか、雰囲気を取るか。 あなたの動画が伝えたいものに合わせて、あえてfpsを“選ぶ”のが、プロの表現力です。
おすすめのフレームレート設定
ここでは、実際の動画ジャンルごとに「このfpsを選べば間違いない」という設定例を紹介します。 初めて動画制作に取り組む方や、業務用に最適な設定を探している方も、ぜひ参考にしてください。
ビジネス・プレゼン動画:30fps
資料共有や画面キャプチャを交えた社内プレゼン、教育動画などには30fpsが最適です。
- 滑らかすぎず、落ち着いた印象を保てる
- スライドや図解との相性も良好
- 多くの再生環境に最適化されている
トビガスマルでも、官公庁や企業向けのプレゼン動画制作では30fpsが基本です。
インタビュー・ナレーション:24〜30fps
映像よりも“言葉”が主役になる動画では、テンポより表情や間の演出が重要になります。
- 24fpsで撮ると、映画のような雰囲気に(特にポートレート撮影に)
- 30fpsだと安定感とリアルさを両立できる
画面効果より「人の声を届ける」ことが目的なら、あえてfpsを落とす選択肢もありです。
チュートリアル・ハウツー動画:60fps
操作解説・ソフトの使い方・スマホアプリ紹介などには60fpsが圧倒的に見やすいです。
- マウスカーソルやアニメーションの動きがなめらか
- 視聴者の理解度が高まり、離脱が減る
特に指や手の動きが重要な「実演型の動画」は、フレームレートで印象が大きく変わります。
スポーツ・ダンス・アクション:60fps〜
速い動きの再現や動作解析が必要な映像では、最低でも60fps、可能であれば120fpsが理想です。
- スローモーション処理にも対応しやすい
- 動きのブレやカクつきが少ない
その分、撮影機材や保存容量には要注意です。
YouTube投稿全般:30fps(または60fps)
Vlog、レビュー、対談、解説など、YouTube用動画では30fpsが基本。 ただし、ゲーム実況やレビュー動画では60fpsも人気です。
自分のチャンネルの「テンポ感」や「ターゲット視聴者」を意識し、最適なfpsを選びましょう。
フレームレートに関するよくある質問(FAQ)
ここでは、動画制作を始めた方がよく疑問に思うフレームレート(fps)にまつわるQ&Aをまとめました。 現場でよく聞かれる質問ばかりなので、初心者の方もぜひチェックしてみてください。
Q. スマホで撮影するなら何fpsがいいの?
スマートフォンで撮影する場合、基本は30fpsで問題ありません。 iPhoneやAndroidの標準カメラアプリは多くの場合、30fpsまたは60fpsを選べるようになっています。
滑らかさを重視するなら60fps、ストレージ容量を節約したい・編集を想定しているなら30fpsが無難です。
Q. スローモーション動画は何fpsで撮ればいい?
スローモーションにしたいなら、最低でも60fps以上で撮影しましょう。 編集時に半分の速度(例:60fps → 30fps)にしても、映像がカクつかず滑らかに再生されます。
本格的なスローを目指すなら、スマホの120fpsや240fpsのスローモードを活用するのもアリです。
Q. 解像度とフレームレート、どっちを優先すべき?
映像の目的によりますが、動きが多い動画ではfpsを優先、静的な映像では解像度を優先するとよいでしょう。
- スポーツやアクション ⇒ 60fps以上でなめらかに
- インタビューやスライド解説 ⇒ 1080pの高解像度で文字を見やすく
ただし、再生環境やデバイスが低スペックだと、どちらも重くなることがあるので注意しましょう。
Q. fpsが異なる動画を混ぜるとどうなる?
30fpsと60fpsの動画を同じ編集タイムラインに入れると、映像のカクつき・音ズレ・スムージングなどが起こる可能性があります。
理想は編集ソフトでプロジェクトfpsを固定し、すべての素材を同じfpsに変換(リタイミング)して使うこと。 Premiere ProやDaVinci Resolveなどでは「タイムインターポレーション」設定で補間方式も選べます。
まとめ
フレームレート(fps)は、動画の印象・質感・伝わり方に直結する大切な設定です。 なんとなくデフォルトのまま使ってしまいがちですが、内容に合わせてfpsを選ぶことで、映像の説得力は大きく変わります。
今回のポイントを振り返りましょう
- fpsとは1秒あたりのフレーム数。数値が高いほど滑らかな映像になる
- 24fps: 映画のような雰囲気を出したいときに最適
- 30fps: YouTube・ビジネス用途など“万能型”の標準設定
- 60fps: ゲーム実況や操作説明など“動き”を重視する場合に◎
- 設定ミスに注意: 撮影と編集のfpsは必ず揃える
- 配信先や再生環境も考慮してfpsを決定するのがプロの仕事

「この映像、なんか見やすいな」「気持ちよく伝わるな」と思ってもらえるのは、
実はこうした細かな設定の積み重ねなんですよね。
伝えたい気持ちを、きちんと届けるために。fpsは、その第一歩かもしれません。
映像制作に関するご相談は、ぜひ、弊社トビガスマルにお問い合わせください。プロフェッショナルなチームが、あなたのニーズに合わせた最適なソリューションを提供いたします。お客様の映像体験を最高のものにするために、私たちが全力でサポートいたします。

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