
こんにちわ、クセ強め映像制作会社「トビガスマル」代表 廣瀬です。
SNS フィードで「一枚の写真に目が留まり、思わずスクロールを止めてしまう」──そんな体験を生むシネマグラフをご存じでしょうか?
静止画の“静けさ”と動画の“躍動”を同居させるこの表現は、視線をロックし、CTR を最大 1.8 倍に押し上げると言われています。
本記事ではPhotoshop/Filmora/スマホアプリでの具体的な作り方から、Web・SNS・広告で映える活用法、そしてNG例と“うま味”を倍増させる裏ワザまでを一気に解説。
3 分で概念を理解 → 10 分で初作品 → 30 分で公開できるよう、トビガスマル流“最短レシピ”でお届けします。
さあ、一枚の写真にちょっとだけ命を吹き込む旅へ、出発しましょう。
目次
シネマグラフとは?静止画と動画の融合
シネマグラフの定義と特徴
シネマグラフは「99%は写真、1%だけが動画」という逆転の発想から生まれたハイブリッド表現です。
一枚の静止画をベースに、ごく限られた領域だけをループ再生させることで静と動のコントラストを際立たせます。
2011 年に米国の写真家 Jamie Beck 氏と Kevin Burg 氏がファッション・ブログで公開した作品が起源とされ、GIF 形式で拡散したことで一気に注目を浴びました。現在は GIF だけでなく MP4・WebP・APNG といった軽量フォーマットにも対応し、高解像度 × 低ファイルサイズを両立できるのが大きな利点です。
シネマグラフが注目される理由
SNS や Web サイトでは情報が洪水のように流れており、ユーザーは無意識にスクロールし続けています。そこで「一見静止画なのに、よく見ると動いている」という違和感がスクロールストップ効果を生み、視線と滞在時間を引き延ばします。加えて動画全体を再生する場合に比べて通信量を 30〜70%節約できるため、モバイル回線でもストレスなく表示できる点が企業・個人を問わず導入が進む理由です。
シネマグラフのメリット・デメリット
- メリット① 高い視認性 — CTR は静止バナー比 1.5〜1.8 倍という事例も。
- メリット② 軽量・高速 — フル動画と比べ圧倒的にデータ量が小さく、ページ読み込みが速い。
- メリット③ 制作ハードルが低い — 5 秒程度の短尺動画と画像編集ソフトがあれば作れる。
- デメリット① 素材選びがシビア — カメラの手ブレや光変化が大きいとマスク処理が難航。
- デメリット② ループ破綻リスク — 動きの継ぎ目が不自然だと「安っぽさ」が際立つ。
POINT▶ 成功のカギは「動かす範囲を最小限に絞る」こと。
例えばコーヒーカップから立ち上る湯気、夜景のネオン点滅、風で揺れる髪の毛など、動きが限定的で連続性のあるモチーフを選ぶとループが自然に仕上がります。
GIF・動画との違いを整理
項目 | フル動画 | GIFアニメ | シネマグラフ |
---|---|---|---|
動く範囲 | 100% | 100% | 一部のみ |
ファイルサイズ | 大 | 中 | 小 |
印象 | ダイナミック | ポップ | 洗練・没入 |
最適用途 | 映像広告 | スタンプ・ミーム | LP・SNS・バナー |
制作フローの概観
- 撮影 — 三脚固定で 4〜5 秒の短尺動画を収録
- マスク — Photoshop などで動かす領域をレイヤーマスク
- ループ調整 — フェード/逆再生で継ぎ目を滑らかに
- 書き出し — GIF・MP4・WebP など用途別フォーマット
シンプルな手順ながら、写真×動画のハイブリッドという意外性がユーザーの心にフックを残します。
シネマグラフの活用方法
ウェブサイトでの効果的な使用
ウェブデザインの中でシネマグラフを活用すると、視覚的なインパクトが高まり、ユーザーの滞在時間を増やす効果があります。例えば、商品紹介ページにシネマグラフを導入することで、商品の魅力をより効果的に伝えることができます。また、トップページやランディングページにシネマグラフを使用することで、ユーザーの関心を惹きつけ、サイトへのエンゲージメントを高めることができます。
SNSでの活用
シネマグラフはSNS上で共有されやすく、高いエンゲージメントを得ることができます。特にInstagramやFacebookで効果的です。ユーザーのタイムラインに流れてくる静止画の中に動きがあることで、視覚的に際立ち、他の投稿と差別化できます。また、シネマグラフは動画よりも短く、ユーザーの注意を引きつけやすいという特徴があります。
メールマーケティングでの使用
シネマグラフをメルマガに組み込むことで、メールの開封率やクリック率を向上させることができます。静止画よりも目を引くため、ユーザーにメールを開封してもらう確率が高まります。また、シネマグラフは商品の魅力を視覚的に伝えるのに役立ち、クリック率の向上にも繋がります。
シネマグラフ制作のコツ
高品質な動画素材を選ぶ
シネマグラフの元になる動画は、高品質であることが重要です。解像度が高く、ノイズやブレのない動画素材を選びましょう。素材のクオリティがシネマグラフ全体のクオリティに大きく影響します。
安定したカメラで撮影する
定点カメラを使用して安定した撮影を心がけることで、シネマグラフ制作がスムーズに進みます。ブレのない動画素材は、シネマグラフの完成度を高めるだけでなく、編集作業も効率化します。三脚を使用したり、カメラを固定したりすることで、安定した撮影を実現できます。
動画のループが自然になるように工夫する
動画部分の動きがループしても違和感がないように、編集時に工夫を凝らしましょう。例えば、動画の始点と終点が自然につながるように、動画素材を調整したり、ループ部分をフェードイン・アウトさせたりするなどの工夫が必要です。
広告効果とシネマグラフ
CTR(クリック率)の改善
シネマグラフを広告に使用することで、CTR(クリック率)を大幅に向上させる効果が期待できます。静止画よりも視覚的に訴求力が高いため、ユーザーの目を惹きつけ、クリックに繋がる可能性が高まります。特に、商品やサービスの訴求ポイントを効果的に表現できるシネマグラフは、広告効果を高めるのに役立ちます。
CPA(獲得単価)の低減
CTRが向上するだけでなく、CPA(獲得単価)も改善され、効率的な広告運用が可能になります。クリック率の向上は、広告費の効率的な活用に繋がり、CPAの低減に貢献します。シネマグラフは、広告費を抑えながら効果的な広告展開を実現する手段として注目されています。
シネマグラフ制作に挑戦してみよう
シネマグラフ制作の第一歩
まずはシンプルな動画を用意し、基本的な編集ツールを使ってシネマグラフを作ってみましょう。スマートフォンで撮影した動画でも、編集ソフトを使って簡単にシネマグラフを作成できます。
おすすめのシネマグラフ制作ツール
シネマグラフ制作には、FlixelやPLOTAVERSEなどの専門ツールを使用すると効率的です。これらのツールは、シネマグラフ制作に必要な機能が充実しており、初心者でも簡単に高品質なシネマグラフを作成できます。
クオリティ向上のためのポイント
高品質な素材と細部にこだわった編集が、プロフェッショナルなシネマグラフ作成に繋がります。動画素材のクオリティはもちろんのこと、編集時の細かな調整も重要です。例えば、ループ部分の滑らかな繋ぎ方や、動きと静止部分のバランスなど、細部にまで気を配ることで、より魅力的なシネマグラフを作成できます。
シネマグラフの作り方:Photoshop、Filmoraを使った制作手順
Photoshopを使ったシネマグラフの作り方
- 動画を読み込む
ファイル › 読み込み › ビデオフレームからレイヤー
で 4〜5 秒の短尺動画を取り込みます。 - タイムラインを整える
ループが自然になる位置でイン点/アウト点を設定し、3 – 5 秒にトリミング。 - 動かす範囲をマスク
動いてほしい部分だけをペンツールで選択し、レイヤーマスクを適用。
※マスクの境界を羽根 0.5 – 1 pxぼかすと継ぎ目が目立ちません。 - ループを滑らかに
タイムラインの最後のフレームを複製→逆再生 →ウィンドウ › タイムライン › トゥイーン
でクロスフェード。
これで“継ぎ目ゼロ”の無限ループに。 - 書き出し
書き出し › Web用に保存
で GIF(SNS向け) or MP4(WebP)を選択。
ファイルサイズは 1 – 2 MBに抑えるとモバイル表示が速くなります。
Filmoraを使ったシネマグラフの作り方
- 素材をタイムラインに配置し、静止させたいフレームで右クリック→
フリーズフレーム
を挿入。 - フリーズレイヤーを複製し、上レイヤーにマスク(円やブラシ)を描いて動く範囲を透過。
- 速度調整:ループが速すぎる場合は動画側を 0.8 × にスロー。
- カラー調整:静止部分は彩度を下げると動きがさらに際立つ。
- エクスポート:
H.264 MP4 ループ設定
で書き出し。
スマホアプリで手軽にシネマグラフを作成
アプリ | 主な機能 | 所要時間 |
---|---|---|
Pixaloop(iOS) | 指で動線を描くだけでモーション指定/エフェクト多数 | 約 5 分 |
Zoetropic(Android) | フリーズ+矢印モーション/速度&フェード調整 | 約 7 分 |
Motionleap(iOS/Android) | ワンタップ AI マスク/SNS 直接共有 | 約 3 分 |
トビガスマル流・時短ワザ▶ まずスマホアプリで動く領域の設計を試作 → OK カットを PC(Photoshop)に渡し、高解像度で仕上げると工程を半分に短縮できます。
次章では、完成したシネマグラフを「どこで、どう使うと一番映えるか」を Web・SNS・広告の事例ベースで解説します。
クオリティを高める!シネマグラフ制作のポイント
高品質な動画素材の選び方
素材の質=完成度です。まずは解像度 Full-HD 以上・ノイズレス・露出安定の 3 つを死守しましょう。
屋外撮影なら ND フィルターでシャッタースピード 1/50 s 付近をキープ。屋内は ISO 400 以下に抑え、粒状ノイズ=マスク境界の破綻を防ぎます。
さらに三脚+手振れ補正 OFF(電子揺れを排除)を徹底すると、後工程のスタビライズが丸ごと不要になり編集時間が 30 % 短縮します。
ループが自然な動画編集
- 逆再生ブレンド — 逆再生したコピーを末尾に接続→
50 % Opacity
で 8 – 12 フレームクロス。 - ミッドフレーム開始 — 周期運動(波・炎・湯気)は動きのピークではなく“中間”をループ点に。
- 色変化をオフ — Automated White Balance が入ると輝度差で継ぎ目が露見。撮影段階で
AWB →5600 K 固定
などプリセットを使うと後がラク。
トビガスマル流▶ Premiere Pro なら Repeat Frame Hold
+Opacity Ramp
の 2 クリックで継ぎ目処理完了。Photoshop 派は トゥイーン 5-8 フレーム
が黄金比です。
視線を誘導するデザイン
動く範囲は画面面積の 15 – 20 %を目安に抑えます。ノンデザイナーの方は次の 3 ステップで “映える配置” が決まります。
- フォーカルポイントを決める — 商品のロゴ・人物の瞳・炎の揺らぎなど「見せたい核」を 1 つ。
- 周囲を“静止”で囲む — 核以外はマスクで固め、対比が最大化される構図に。
- カラーで追い風を作る — 核は彩度100 %/静止域は 10 – 20 % 減彩度で
目線が自然に動く部分へ吸い寄せられます。
背景が派手に動くと視覚疲労につながるため、店頭サイネージや LP ヒーローでは動き=1 要素と決め打ちが鉄則。
トビガスマルでは納品前にストップモーションプレビューを 3 秒眺め、「動き以外が目立たないか」チェックリストで品質を保証しています。
これらのポイントを押さえるだけで、“量産GIF”とは一線を画すプロクオリティに到達します。
次の章では、仕上げたシネマグラフをWeb・SNS・広告で最大限活かす配置テクを具体例でご紹介します。
まとめ:シネマグラフで表現の可能性を広げよう
シネマグラフは写真の手軽さ × 動画のインパクトを同時に叶えるハイブリッド表現です。
静止画が並ぶフィードの中でわずかな動きを差し込むだけで視線を誘導し、CTR・滞在時間・ブランド想起を一気に底上げできます。
- 制作面:スマホでも 10 分で試作可能。Photoshop・Filmora を使えば高解像度化も容易。
- 運用面:MP4/WebP ならファイルサイズ 1 – 2 MB! モバイル表示も快適。
- マーケ効果:静止バナー比で CPC▲25 %・CTR×1.5 – 1.8 の実績多数。
まずは 1 枚、スマホで 5 秒撮影 → 無料アプリでマスク → SNS に投稿してみてください。
「もっとストーリーを感じさせたい」「ブランドトーンに合わせて量産したい」そんなときは、
クセノツヨイ映像演出で差別化するトビガスマルがお手伝いします。
一枚の静止画に“生命”を宿し、あなたのブランドを次のフェーズへ。
トビガスマル代表 廣瀬でした!

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