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初心者におすすめ!可変NDフィルターで映像をもっとクリエイティブに

代表社員 廣瀬高之

こんにちは、合同会社トビガスマルの廣瀬です。
日中のロケで「シャッターを1/50に固定したいのに、真っ白に飛ぶ」「開放Fでシネマっぽく撮りたいのに露出が合わない」――そんな“映像ならでは”の悩み、可変NDフィルターが1枚あれば一気に片付きます。リングを回すだけで光量を連続調整できるから、180度ルールを守った自然なモーションブラー開放ボケLogのベースISO維持が同時に叶います。

この記事では、可変NDフィルターとは?から、初心者でも失敗しない選び方使い方のステップ、そして現場目線で選んだおすすめモデル(Kenko バリアブル NDX II/marumi EXUS ND/NiSi TRUE COLOR NDVARIO)まで、要点だけをわかりやすく紹介します。まずはいつものレンズに合うフィルター径をチェックして、一緒に“光を味方にする”第一歩を踏み出しましょう。

可変NDフィルターとは?初心者にもおすすめの理由

可変NDフィルターの仕組みと特徴

可変NDは、2枚の偏光フィルターを重ねて回転させることで透過光量を連続調整できるNDフィルターです。動画ではフレームレートに合わせてシャッター速度を固定(例:24p → 1/48〜1/50)し、絞り(ボケ量)とISO(画質/LogのベースISO)も狙いに合わせて固定するのが基本。そこで露出の最終調整をNDで行うと、画づくりを崩さずに明るさだけ合わせられます。

  • できること(映像表現):日中でも開放Fで背景をとろけさせる/180度ルールで自然なモーションブラーを維持/LogのベースISOを守ってダイナミックレンジを確保
  • 注意点:最大濃度付近で出やすいXパターン(十字ムラ)、広角端のケラレ、偏光由来の空のムラ反射の変化に注意。端(MAX付近)を避ける・一段ズーム・薄枠/大径+ステップアップで回避しやすくなります。

初心者におすすめの理由:手軽さと汎用性

  • 回すだけで最適露出:ロケの明るさが変わっても、リングを少し回すだけで即対応。
  • 荷物を増やさない:固定NDを何枚も持ち替える必要がなく、1枚で幅広い光量に対応。
  • 映像の定石に合致:FPS → シャッター固定 → 絞り/ISO固定 → NDで追い込む」という手順にフィット。
  • コスパ良好:最も大きいレンズ径のVNDを1枚買い、他レンズへはステップアップリングで流用。

クイック手順:①FPS設定 → ②シャッターを約1/(2×FPS)に固定 → ③絞りとISOを決める → ④可変NDを回して波形/ヒストグラム/ゼブラで露出を合わせる → ⑤色かぶりを抑えるためWBを取り直す

Kenko バリアブル NDX II の魅力

初めての1枚に選ばれやすい定番可変ND。滑らかな回転トルクで微妙な露出追い込みがしやすく、屋外Vlogから案件のサブ運用まで扱いやすいモデルです。サイズの選択肢も豊富で、大径+ステップアップ運用との相性が良好。

  • 安定運用のコツ:最大側の手前で止める(Xパターン回避)/広角は薄枠や一段ズームでケラレ対策/装着後はWBを再取得して色再現を安定化
  • こんな人に:日中ロケで1/50固定を守りたい、開放ボケのシネマルックを確実に出したい、LogのベースISOを崩したくない初心者〜中級者


可変NDフィルターの選び方:初心者でも失敗しないポイント

フィルター径の確認:レンズに合ったサイズを選ぼう

まずはレンズの表記 ø(フィルター径) を確認。複数レンズで使うなら、一番大きい径の可変NDを選び、他レンズはステップアップリングで流用するのがコスパ最強です。

  • 探し方:レンズ前枠やレンズキャップ裏の「ø67」「ø72」などの刻印をチェック。
  • やってはいけない:ステップダウンリング(小径フィルターを大径レンズに)はケラレの原因に。
  • 広角対策:24mm以下はケラレが出やすいので、薄枠タイプ大径+ステップアップを優先。
  • 運用のコツ:NDは回転部があるため、先にND→後からフードの順で装着。

減光量の範囲:撮影シーンに合わせて選ぶ

動画はFPS→シャッター固定(180度ルール)→絞り/ISO固定で作るため、明るい屋外ほどNDの“濃い側”が必要になります。目安は以下。

シーン 設定例(24p) 必要NDの目安 おすすめレンジ
晴天の正午(屋外) 1/50・F2.0・ISO100 7〜8段 VND 1〜8段(上限付近は使いすぎ注意)
晴天+開放F1.4 1/50・F1.4・ISO100 8〜9段 VND 2〜9段相当 or 固定ND+VNDの併用
LogなどベースISO高め(例ISO800) 1/50・F2.0・ISO800 10〜11段 固定ND(3〜4段)+VNDが安全
薄曇り/日陰 1/50・F2.8・ISO100 4〜6段 VND 1〜6段

※「段」は減光ストップ数のこと。VNDの表記「ND2〜ND400」はおおむね1〜8.6段相当です。濃い側(最大付近)はXパターンが出やすいので、一歩手前で運用するのが吉。

画質への影響:高品質なフィルターを選ぼう

  • 色かぶり(Color Cast):緑/茶/マゼンタ寄りに転ぶ個体があります。True Color系や色忠実性を謳うモデルが安心。
  • Xパターン対策:最大濃度付近で十字ムラが出やすい。ハードストップ推奨域マーキングのある製品が使いやすい。
  • 反射・フレア耐性:多層コーティング、低反射コート、撥水・防汚の有無で逆光・雨天の歩留まりが変わります。
  • 枠の作り:薄枠・高精度ネジ・ローレット(滑りにくい)・キャップ互換など、現場での取り回しに直結。
  • スタッキング注意:保護フィルターと重ね付けはケラレ/フレアの原因。撮影時は保護フィルターを外すのが基本。
  • 広角の空・水面:VNDは偏光由来で空の濃淡ムラ反射の変化が出ることがあります。パン方向や角度を少し変えて回避。

結論:初心者は、大径+ステップアップ運用、1〜6(〜8)段をカバーするVND、ハードストップ多層コートを目安に選べばOK。晴天下で開放&Logを多用するなら、固定ND(3〜4段)+VNDの2枚体制が安心です。

可変NDフィルターの使い方:ステップバイステップガイド

カメラの設定:絞り、シャッタースピード、ISO感度

  1. FPSを決める(例:24p/30p/60p)。作風に直結するので先に固定。
  2. シャッター速度を固定180度ルールの目安(24p→1/48〜1/50、30p→1/60、60p→1/120)。
    ※室内照明や看板のフリッカー対策では、一時的に電源周波数の倍数(1/50,1/100,1/60,1/120等)に合わせる。
  3. 絞り(表現)とISO(画質)を決める:背景ボケを出したいなら開放寄り、Log等はベースISOを優先。
  4. 露出はNDで追い込む:ヒストグラム/波形/ゼブラで確認しながら、可変NDを回して適正に。
    肌はおおよそ60〜70% IREを目安(ピクチャープロファイルにより最適値は変動)。

NDフィルターの装着:レンズに正しく取り付ける

  • 清掃:レンズ前玉とフィルター両面の指紋・埃を除去(フレア/コントラスト低下防止)。
  • ねじ込み:可変NDを水平に装着。斜め噛みは厳禁。フードはND装着後に取り付け。
  • 重ね付け回避:保護フィルターは外すのが基本。スタックはケラレ/フレアの原因。
  • 広角対策:24mm以下はケラレが出やすい。薄枠大径+ステップアップで回避。
  • バランス再調整:ジンバル使用時はND装着後に再バランス。
  • 色の安定:装着後はホワイトバランスを取り直す(色かぶりの影響を軽減)。

撮影:効果を確認しながら調整

  1. 画づくりを先に決める(構図・被写界深度・動き)。設定は「FPS→シャッター→絞り/ISO→ND」。
  2. 可変NDを微調整:波形/ヒストグラム/ゼブラで確認しながら、最大濃度の一歩手前で止める(Xパターン回避)。
  3. 偏光の副作用に注意:空の濃淡ムラ・ガラス反射の変化が出たら、角度/立ち位置/パン方向を微調整。
  4. フリッカー確認:LEDやネオンがちらつく場合は、シャッターを電源周波数の倍数へ微調整(必要最小限)。
  5. テイク間の再現性:NDの目盛りやハードストップを目安に、同一カット内の濃度を固定してルックの揺れを防止。
  6. 現場の小ワザ:ラン&ガンではオートISO+可変NDで“最終制御”を人が担当/屋外逆光はフード+フラッグでフレア対策。

まとめ(運用の型):FPS決定 → シャッター固定 → 絞り&ISO固定 → NDで露出」。可変NDは“明るさだけ”を最後に合わせるためのツール――これを徹底すると、開放ボケ×自然なモーションブラー×安定した色が手に入ります。

失敗しがちな症状とトラブルシュート(Xパターン/フリッカー/ケラレ/色かぶり)

Xパターン(十字ムラ)が出る

  • 原因:最大濃度付近のVND特性/広角での偏光の位相差
  • 対処:最大一歩手前で止める/必要時は固定ND+VND併用/構図を一段ズーム

LEDフリッカーが出る

  • 原因:電源周波数とシャッターの同期ズレ
  • 対処:シャッターを1/50・1/100(50Hz)/1/60・1/120(60Hz)へ一時的に合わせる/FPS調整も検討

ケラレ・周辺減光が出る

  • 原因:広角×厚枠/ステップダウン/多段スタック
  • 対処:大径+ステップアップ薄枠採用/保護フィルターは外す

色かぶり・肌色が転ぶ

  • 対処:装着後にWBを取り直すTrue Color系を選ぶ/編集でLUT前にホワイトバランス調整

シーン別プリセット(すぐ試せる設定例)

屋外ポートレート(昼・シネマライク)

  • 24p|1/50固定F2前後|ISOベース|VND6〜8段
  • ポイント:背景ボケ重視/ゼブラで肌60–70%IRE

街歩きVlog(ラン&ガン)

  • 30p|1/60固定|F2.8|オートISO+VNDで最終調整
  • ポイント:明るさ変化はリングを少し回すだけ

水辺・滝(質感重視)

  • 24p|1/50固定|F4|VND4〜7段
  • ポイント:最大濃度の一歩手前で止めてムラ回避

室内LED・ネオン(フリッカー対策)

  • 24/30p|1/50・1/100・1/60・1/120のいずれかに一時変更
  • ポイント:シャッター優先で同期→露出はVNDで追い込む

おすすめの可変NDフィルター:初心者向けモデル紹介

Kenko バリアブル NDX II:手頃な価格で高品質

初めての1枚に選ばれやすい定番。国内流通が安定しており、回転トルクが滑らかで微妙な露出追い込みがしやすいのが魅力です。
日中Vlogやラン&ガンの案件でも、「シャッター固定 → NDで露出」の型に素直に従ってくれます。

  • 向いている人:まずは失敗なくVND運用を始めたい初心者/コスパ重視の複数レンズ運用
  • 現場コツ:最大側の一歩手前で止める(Xパターン回避)/大径+ステップアップでケラレ対策/装着後はWB再取得


marumi EXUS 可変ND(VARIO系):高性能でプロも納得の品質

国産らしい多層コーティングと作りの良さに定評。逆光耐性・撥水/防汚など、実務で効く要素がしっかり効きます。雨天のロケや海辺、噴水など水滴リスクの高い現場でも歩留まりが良好。

  • 向いている人:画質と扱いやすさを両立したい/屋外ロケが多い/フレアに敏感
  • 現場コツ:太陽を画角に入れる構図はフード+フラッグでコントラスト確保/フィルター面はこまめに拭く


NiSi TRUE COLOR NDVARIO:色かぶりを抑えた高精度モデル

映像向けに嬉しい色忠実性(True Color)を訴求する人気機。ハードストップや明確な目盛りで、濃度の再現性がとりやすく、Xパターン“踏み込み過ぎ”も避けやすい設計です。カラーグレーディング前提のワークフローでも扱いやすい一本。

  • 向いている人:スキントーン重視/編集での色合わせを楽にしたい/テイク間で濃度を合わせたい
  • 現場コツ:WBをシーンごとに取り直すとより安定/濃い側の端は使わず目盛り基準で固定



選び分けの目安:
コスパ&入手性=Kenko屋外耐性&コーティング=marumi色のニュートラル&再現性=NiSi

アクセサリーTips:複数レンズ運用は一番大きい径のVND+ステップアップリングが正解。付け外し頻度が多い人は、マグネット式アダプター(対応モデル/別売の場合あり)も検討すると、ジンバル運用やフィルター交換が一段とスムーズになります。

まとめ:可変NDフィルターで映像をもっとクリエイティブに!

可変NDは、動画づくりの定石 「FPS → シャッター固定 → 絞り/ISO固定 → NDで露出」 を実現する“最後の一手”。
日中でも開放ボケ、自然なモーションブラーLogのベースISO維持を同時に叶え、表現の自由度を一段引き上げます。

  • 買うとき:大径+ステップアップ運用/1〜6(〜8)段カバー/ハードストップ多層コートを目安に。
  • 使うとき:最大濃度の一歩手前で止める(Xパターン回避)/装着後にWBを取り直す/露出確認は波形・ヒストグラム・ゼブラで。
  • 広角時:薄枠一段ズームでケラレ対策。偏光の副作用(空のムラ/反射変化)は角度・立ち位置で微修正。
  • ルーティン:ロケの明るさが変わったらリングを少し回すだけ。ジンバルはND装着後に再バランス

明日すぐ試せる“ミニ課題”3つ

  1. 昼ポートレート:24p/1/50固定・F2前後・ISOベース。可変NDで露出を決め、背景をとろけさせる
  2. 流水/噴水:24p/1/50固定・F4前後。可変NDで水の滑らかさをコントロール(絞りは固定)。
  3. 歩きVlog:30p/1/60固定・開放寄り。明るさが変わる道で、リング操作のみで露出を維持。

よくあるミス(チェックして回避)

  • 最大濃度まで回し切ってXパターンが出る → 一歩手前で止める/必要なら固定NDを併用。
  • 保護フィルターと重ね付け → ケラレ/フレアの原因。撮影時は外す。
  • ND装着後にWB未調整 → シーンごとにワンタッチで取り直す。

可変NDは「荷物を増やさずに、表現を増やす」道具。まずは一本、いつものレンズに合わせて用意して、“シャッターは固定、露出はND”の型に体を慣らしてみてください。映像の仕上がりが、ぐっとシネマ寄りに変わります。

よくある質問(FAQ)

Q. 可変NDと固定ND、どっちがいい?

A. ラン&ガンの映像撮影なら可変ND(VND)が便利。回すだけで露出を連続調整できます。
画質を最優先したい強い日差しやLogの高ベースISO運用では、固定ND(3〜4段)+VNDの併用が安定です。

Q. Xパターンや色かぶりが出たら?

  • 最大濃度の一歩手前で止める(端は出やすい)
  • 広角でケラれる/ムラが出る → 一段ズーム or 薄枠を使う
  • 装着後はホワイトバランスを取り直す
  • 色忠実系(True Color等)のVNDや、固定NDの併用も有効

Q. 室内LEDのフリッカー対策は?

A. 必要に応じてシャッターを電源周波数の倍数(例:1/50・1/100・1/60・1/120)へ微調整。
可能ならFPS側を変更して整合させる/看板・舞台照明は個体差があるため、現場で波形/モニター確認が確実です。

Q. ジンバルで使うコツは?

  • VND装着後に必ず再バランス
  • 濃度調整で前枠が回る → 指の当たりでブレない持ち方を練習
  • マグネット式アダプター対応なら、交換時間の短縮に有効

Q. スマホでも効果ある?

A. あります。スマホ用の可変NDマニュアル撮影アプリで、FPSに対してシャッターを固定し、VNDで露出を追い込めます。
被写体ブレ/モーションブラーが自然になり、“動画らしさ”が出ます。

Q. Log撮影の露出はどう決める?

A. ベースISOを厳守し、波形/ゼブラでハイライトを飛ばさない位置に。最後にVNDで露出合わせ。
肌はおおむね60–70% IREを目安(ログ種別・LUTで最適値は変動)。


撮影前・撮影中・撮影後のチェックリスト(保存版)

出発前:機材と設定の準備

  • 可変ND本体(大径)+ステップアップリング一式
  • 薄枠タイプ(広角対策)/固定ND(3〜4段)の併用有無を確認
  • マイクロファイバー/ブロアー/レンズペン(指紋・水滴対策)
  • カメラの基本プリセット:FPS・シャッター(180度)・ベースISO・ピクチャープロファイル
  • ジンバルを使う場合:ND装着状態で概ねバランスが取れるか検証

撮影中:迷ったら“型”に戻る

  1. FPS決定 → シャッター固定(24p→1/48〜1/50、30p→1/60、60p→1/120)
  2. 絞り/ISOを表現に合わせて固定(開放ボケ/LogのベースISO)
  3. 可変NDで露出を追い込み、波形/ヒストグラム/ゼブラで確認
  4. 濃い側は一歩手前で止める(Xパターン回避)、広角は一段ズーム薄枠
  5. WBを取り直す(色かぶりの影響を最小化)
  6. LEDフリッカー時は電源周波数の倍数へ一時的にシャッター微調整

帰社後:次回の歩留まりを上げる

  • VND濃度の使用域と露出結果をメモ(再現性アップ)
  • 色かぶり傾向を記録(シーン別のWB/LUT運用に反映)
  • フィルター面の清掃と保管(ケース/ポーチ)

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