
こんにちは、岡山県の映像制作会社「トビガスマル」代表の廣瀬です。
企業VPやイベント、観光PRなど、ワンオペで動画も写真も撮る現場が多い私たちにとって、機材選びは“戦力選び”そのものです。
なかでも、Canon EOS R1は導入以来「この1台で勝負できる」と思わせてくれる信頼と画質を兼ね備えたフラッグシップ機。
ただ、R1の本領を引き出すには、相棒となるレンズ選びがとにかく重要です。
写真用としては高評価なRFレンズ群ですが、「動画に向いているか?」となると事情は少し変わってきます。
たとえば――
- ピント移動時に画角がズレる“フォーカスブリージング”
- 静かな現場で気になる“駆動音”
- 手ブレ補正の挙動や逆光耐性
こうしたポイントをクリアして、実際にR1と組んで現場で「これは使える!」と感じたレンズだけを、
実戦レビュー付きで5本、厳選してご紹介します。
「動画で使うならどのRFレンズがベストなの?」
「R1に合わせて、最初に買うべき1本は?」
そんな疑問に、プロ目線+現場のリアルな手触りでお応えします。
動画制作者にとって、本当に頼れる“5本の相棒”──
ぜひ、あなたのレンズ選びの参考にしてください。
目次
なぜ“動画用レンズ選び”が重要なのか?
カメラ本体の性能がいくら高くても、レンズが動画に向いていなければ、仕上がりは大きく劣化します。
静止画では評価が高いRFレンズでも、動画では以下のような“落とし穴”が潜んでいます。
- フォーカスブリージング:ピントを送ったときに画角がズレてしまい、違和感のある映像になる
- AF駆動音:静かなシーンで「ジジジ…」とモーター音がマイクに入る
- 手ブレ補正の癖:手持ち撮影時に補正が急に切り替わり、不自然な揺れが起きる
- 逆光耐性の弱さ:フレアやゴーストが出やすく、絵が“安っぽく”見える
こうした要素は、撮影中には気づきにくく、編集時や納品段階で後悔することが多いポイントでもあります。
だからこそ、動画に向いているRFレンズを選ぶことが、R1のようなハイエンド機の性能を引き出す鍵になるのです。
次の章からは、私たちが実際に仕事で使って「これは間違いない」と感じたレンズを、用途別・作例付きで5本ご紹介していきます。
動画に最適なおすすめRFレンズ5本
① RF 24-70mm F2.8L IS USM|万能型・ジンバル最強の仕事レンズ
「迷ったらこれ」と言える、RFレンズの中でも最も動画向きな万能ズームがこの一本。
広角24mmから中望遠70mmまでカバーし、インタビュー・商品PR・式典・旅動画までほぼすべての現場で活躍します。
EOS R1とのバランスも絶妙で、三脚・ジンバル・手持ちすべてに対応。F2.8通しの明るさと5段分のIS(手ブレ補正)により、暗所撮影や歩き撮りでも安心です。
✔ 動画での実戦メリット
- 手ブレ補正がR1と協調動作:IBISと組み合わせて、ジンバルなしでも安定感◎
- フォーカスブリージングが少ない:ピント送り時も画角がほとんど変わらず自然
- AFが静かで滑らか:駆動音は実質無音レベル、インタビュー録音時も安心
- レンズ長変化が小さくジンバル適性高い:ズームしてもバランス崩れしにくい
📷 使用シーン
- ジンバル運用での旅系Vlog撮影(24mm〜35mm)
- 企業VPのインタビューカット(50〜70mm、F2.8開放)
- 式典ステージの記録映像(中距離〜引き)
POINT:このレンズ一本で9割のシーンに対応できる「仕事人レンズ」です。
とくにワンオペで、現場を走りながら多くのカットを押さえる必要がある人には最初の1本に強くおすすめします。
② RF 50mm F1.2L USM|シネマチックなボケと立体感の王道単焦点
「シネマ的な画」を狙いたい人にとって、RF 50mm F1.2L USMは特別な1本です。
開放F1.2の大口径が生む浅い被写界深度と滑らかなボケは、ただの記録映像を“作品”のように格上げしてくれます。
特にポートレートやインタビュー、商品撮影、イメージ映像のような“印象で魅せる”カットに強く、R1との組み合わせで驚くほど立体的な画になります。
✔ 動画での実戦メリット
- F1.2開放の立体感:背景のボケが非常に柔らかく、被写体だけが浮かび上がる
- 色乗りが濃く、階調豊か:グレーディングしても破綻しにくい
- AF精度が高く、R1と完璧に連動:顔・瞳AFでも迷いが少ない
- 収差が少なく、絞り開放から実用画質:商品・料理撮影にも◎
📷 使用シーン
- 登壇者のクローズアップインタビュー(背景を溶かすことで高級感演出)
- 料理系のPVで“とろけるような”手元表現
- 映画的イメージカット(スローモ×浅ボケ×逆光)
⚠ 注意点
- フォーカスブリージングはわずかにあり。ピント送りが速すぎると画角がわずかにズレて見える
- 重量が約950gと重めなので、ジンバル使用時はバランス調整必須
POINT:このレンズは「雰囲気」や「表情」を切り取るのに非常に向いており、
“画の空気感で見せたい”映像制作者にとっては間違いない1本です。
逆に、報道やバタバタした現場よりは、演出映像・商品紹介・インタビューなど、静と深さを求める撮影に適しています。
🔁 RF 50mm F1.4L VCMとの違いは?
2024年登場のRF 50mm F1.4L VCMは、F1.2Lの兄貴分的存在とも言える中堅レンズ。
どちらを選ぶべきか、動画制作者目線で違いを整理してみましょう。
比較項目 | F1.2L USM | F1.4L VCM |
---|---|---|
開放F値 | F1.2(極薄ボケ) | F1.4(やや抑えめ) |
重さ | 約950g | 約645g(軽量) |
AF駆動 | USM(高速) | VCM+Nano USM (静音&動画向け) |
ブリージング補正 | あり(軽微) | 対応 (動画モードで補正可) |
描写傾向 | ややクラシカル/深み | シャープ/ヌケ重視 |
結論:
F1.2Lは「極上のボケ」「空気感」「立体感」を求めるプロ向け。
F1.4L VCMは「軽量・静音・動画チューン」の現場特化型。コスパも◎
R1ユーザーで静止画と動画をハイブリッドに撮る方ならF1.4L VCMがベストバランス。
一方、画の“深さ”や表情の演出を極めたい映像作家には、今なおF1.2Lの魅力は唯一無二です。
③ RF 70-200mm F4L IS USM|軽量望遠&式典撮影の強い味方
「望遠レンズは重い」「持ち出すのが億劫」──
そんなイメージを覆すのが、このRF 70-200mm F4L IS USMです。
F4通しの中望遠ズームながら重さは約695gと非常に軽量。
さらに収納時に短くなる“沈胴式”を採用しており、カバンにすっぽり収まります。
EOS R1との組み合わせでも機動力を損なわず、ワンオペ現場でも扱いやすい1本です。
✔ 動画での実戦メリット
- 高精度なAF:R1との相性抜群。式典など動きが少ない場面でフォーカス精度が高い
- IS性能が非常に優秀:最大5段+ボディIBIS連動で、手持ち望遠もOK
- 沈胴設計で移動がラク:ロケ先への持ち運びが苦にならない
- 被写体圧縮効果:中望遠ならではの映像的「奥行き」が表現できる
📷 使用シーン
- 式典・講演・セレモニーなど離れた場所からの定点撮影
- 望遠マクロ的にディテールを切り取る商品カット
- イベントのBロールやリアクション映像の“抜き”ショット
⚠ 注意点
- F4通しのため暗所では若干ISOを上げる必要あり(ただしR1の高感度耐性なら問題なし)
- 沈胴構造のためズーム動作に慣れが必要(ワンタッチではなくツイスト式)
POINT:軽量・高性能・取り回しの良さを備えた“現場主義の望遠ズーム”。
遠距離撮影が必要な式典・屋外イベント・ドキュメンタリー現場において、R1の高解像センサーと見事にマッチします。
④ RF 15-35mm F2.8L IS USM|広角×ジンバル×歩き撮りに最適な超広角ズーム
「ジンバル撮影で広く見せたい」「歩きながらの空間紹介映像を滑らかに撮りたい」──
そんなときに頼れるのが、RF 15-35mm F2.8L IS USMです。
15mmの超広角から35mmの標準寄りまでをカバーし、狭い室内から広大な屋外まで1本で幅広く対応可能。
R1のフルサイズセンサーと組み合わせることで、歪みの少ない高解像な広角映像を得られます。
✔ 動画での実戦メリット
- 歪みが少なく周辺までシャープ:建築物・屋内撮影でラインが綺麗に出る
- ジンバルとの相性抜群:短く軽い鏡筒で、R1+RS3 Proなどでもバランス良好
- IS搭載で手持ちも安定:動画時の手ブレをしっかり抑制
- 逆光耐性が高くフレア・ゴーストが少ない:ライティング環境下でも安定した画
📷 使用シーン
- ルームツアー・物件紹介・建築系プロモーション
- イベント会場の広角スイープ・歩き撮り
- ジンバルでのスローシーン/Vlog演出カット
⚠ 注意点
- 超広角ゆえ、被写体に寄りすぎると顔が伸びるなどパースが強く出る
- 広角端(15mm)でAFを使う際は、フォーカスの深さに油断しない(顔検出設定推奨)
POINT:「空間を魅せる映像」が欲しいなら、このレンズが最適解。
ジンバルに載せても負担が少なく、歩き撮りやイベントの会場紹介カットでも活躍します。
R1の高画質センサーと相性が良く、ブリージングやフレアの抑制力も含めて“広角動画特化”の一本です。
⑤ RF 85mm F2 MACRO IS STM|商品撮影・手元・ポートレートに効く万能単焦点
「価格を抑えつつ、画質と汎用性も欲しい」──
そんな動画制作者にぴったりな隠れた名レンズが、RF 85mm F2 MACRO IS STMです。
F2の明るさと85mmという焦点距離が生み出す自然なボケと圧縮感、さらに最大0.5倍のハーフマクロ機能が魅力。
ポートレートから商品・手元の寄り映像まで、1本で幅広くカバーできます。
✔ 動画での実戦メリット
- 小型・軽量で取り回しやすい:R1に載せてもバランス良好(約500g)
- 静音AF:STM駆動でモーター音がほぼ無く、マイクへの干渉がない
- 0.5倍マクロでディテール撮影に強い:パッケージや手元作業の撮影に◎
- 美しい中望遠ボケ:背景をスッと溶かし、主題を際立たせる
📷 使用シーン
- 製品紹介動画での「開封/操作」手元カット
- 飲食系の「盛り付け」シーンや料理PV
- 対談インタビューやシネマ風ポートレートカット
⚠ 注意点
- AF速度はUSMに比べてやや遅め:動体撮影より静的シーン向け
- 開放F2では周辺減光がやや出る:動画では問題にならないが注意
POINT:コストを抑えつつ「使える映像」をしっかり撮れる、動画向きの中望遠単焦点。
とくに静かな環境/手元作業/印象的なボケを演出したいシーンで、R1との相性も良く、サブカメラにもおすすめできる1本です。
まとめ|EOS R1と相性の良いRFレンズを“用途別”で選ぼう
ここまでご紹介してきた5本はいずれも、実際の撮影現場でEOS R1と高い親和性を発揮した動画向けレンズです。
それぞれに得意なシーンや特性があるため、自分の撮影スタイルや納品ジャンルに合った1本を選ぶことが、機材投資の満足度を大きく左右します。
📊 5本の動画向けスペック比較表
レンズ名 | 画角/用途 | 強み | 注意点 |
---|---|---|---|
RF 24-70mm F2.8L | 標準ズーム 万能型 |
手ブレ補正/描写力/AF静音 | やや重め(900g台) |
RF 50mm F1.2L | 中望遠単焦点 印象的な画 |
ボケ/立体感/色ノリ | 高価・重い/ブリージング微小 |
RF 70-200mm F4L | 望遠ズーム 式典/Bロール |
軽量・高画質・手ブレ補正 | F4通し/暗所ではISO上昇 |
RF 15-35mm F2.8L | 超広角ズーム ジンバル/歩き撮り |
周辺解像・逆光耐性・軽快操作 | 超広角特有のパースに注意 |
RF 85mm F2 STM | 中望遠単焦点 商品/手元撮影 |
静音AF/ハーフマクロ/軽量 | AFやや遅い/周辺減光あり |
🎯 最初の1本に迷ったら?
- とにかく1本で全部こなしたい → RF 24-70mm F2.8L IS USM
- 画に“シネマ感”を加えたい → RF 50mm F1.2L(or F1.4L VCM)
- ジンバル×歩き撮りが多い → RF 15-35mm F2.8L
- 商品・手元重視/低予算 → RF 85mm F2 MACRO IS STM
- 式典・イベント記録が多い → RF 70-200mm F4L
POINT:レンズ選びは「画質 × 動き × 機動力」の三拍子が大切。
EOS R1の高画質を最大限に引き出しつつ、あなたの撮影スタイルにフィットする1本を見つけてください。
【番外編】RF 35mm F1.4L VCM|評価は割れるが“現場で刺さる”もう1本
2024年に登場したRF 35mm F1.4L VCM。一部では「描写が地味」「価格に見合わない」といった声もありますが、現場で実際に使ってみると、その実力は侮れません。
とくに動画目線で見たときの使いやすさ──軽さ・静音AF・フォーカスブリージング補正などの性能は、“ハンドヘルド撮影の現場最適解”の1本だと感じています。
✔ 個人的な推しポイント
- 軽くてR1とのバランスがいい:650g台でワンオペでも疲れない
- VCM駆動+動画対応のAFチューニング:フォーカス送りが滑らかで音も静か
- 35mmという画角:人物/背景のバランスが絶妙。インタビュー・スナップ両対応
- フォーカスブリージング補正対応:ピント移動も映像的に自然
たしかに、L単焦点らしい“深み”や“キレ”を期待すると肩透かしを感じるかもしれません。
でも、現場で「軽快に」「自然に」「失敗せず撮れる」ことが重要なワンオペ撮影では、こういうレンズが1本あると本当に助かります。
POINT:R1と組んで“撮って出しがすでに整っている”レンズ。
評価とは裏腹に、自分の中では密かにリピート率が高い“スタメンレンズ”です。
EOS R1 × RFレンズのよくある質問(FAQ)
Q. RF 35mm F1.4L VCM は動画向きですか?評価は微妙と聞きますが…
A. 正直なところ、スペック表やレビューサイトだけを見て判断すると「地味だな」と思われるかもしれません。
でも、私は実際に何本もレンズを現場に持ち出して使い比べてきた中で、「R1と組ませたときに一番安心できる広角単焦点はこれかも」という印象を受けました。
AF音は気にならないし、フォーカスブリージングも動画モードでほぼ補正できる。
抜群に尖った性能はないけれど、「毎回現場に持っていく」——そんな立ち位置のレンズです。
Q. RF 50mmはF1.2とF1.4、どちらを選ぶべき?
A. 作画にこだわるならF1.2一択だと思います。
ただ、ワンオペで機動力も重視したい、写真と動画を両立したいという場合はF1.4 VCMのほうが断然扱いやすい。
私はF1.2のあの独特なボケが大好きなんですが、毎回それを持ち出すかと言われると、ちょっと躊躇します。F1.4のほうが“ちょうどいい”んですよね。
Q. レンズを複数本そろえるなら、どんな順番で買えばいい?
A. 最初は間違いなくRF 24-70mm F2.8Lをおすすめします。
一度使うと「この1本で全部いけるな」と感じるはずです。
その後は、撮影スタイルや得意ジャンルに合わせて単焦点を足していくと、自然とレンズ選びに無駄がなくなります。

そこで本記事では 1. EOS R1×EOS R デュアルカメラ運用のメリット(コスト・冗長性・ワークフロー) 2. 撮影前に必須!Log設定・ホワイトバランス・露出をそろえる手順 3. DaVinci Resolveでワンパス色合わせする カラーグレーディング3ステッ...

2025.06.22
本記事では、学割付きパッケージを提供する代表的な 3 校 アドバンスクールオンライン・たのまな・デジハリ ONLINE を 価格・講座内容・サポート体制の3視点で徹底比較。 「買うならどこが自分に合う?」「動画講座の質は?」「質問サポートの違いは?」 ──そんな疑問を、早見表...
コメント