こんにちわ、クセのつよい映像制作会社「トビガスマル」です。
フィールドモニターって、導入した瞬間に実感するんですよ。
「……え、今までこの小さいカメラ背面液晶で戦ってたの、修行僧すぎない?」って。
この記事では、フィールドモニターの選び方(失敗ポイント込み)から、用途別のおすすめモデルまで、現場目線でまとめます。
目次
フィールドモニターとは?何のために使う機材なのか
フィールドモニターとは、カメラ本体の背面液晶とは別に接続して使う外部モニターのことです。
「カメラの画面があるのに、わざわざモニターを付ける必要ある?」
そう思われがちですが、実際の撮影現場では“あるかないかで結果が変わる機材”でもあります。
最大の役割はシンプルで、
ピント・露出・色・構図を“正確に確認する”こと。
カメラ背面の小さな液晶では、
- ピントが合っているつもりでズレていた
- 白飛び・黒つぶれに気づかなかった
- Log撮影で明るさの判断を誤った
といった“後で取り返しがつかない事故”が起きやすくなります。
カメラ背面液晶との一番大きな違い
フィールドモニターと背面液晶の決定的な違いは、
「情報量」と「視認性」です。
多くのフィールドモニターには、
- フォーカスピーキング(ピント位置を色で表示)
- ゼブラ/フォルスカラー(露出確認)
- 波形・ベクトルスコープ(明るさ・色の数値確認)
- LUT表示(Log撮影時の仕上がり確認)
といった、「プロが判断するための情報」が表示できます。
これにより、
“なんとなく大丈夫そう”ではなく
“根拠を持ってOKと言える撮影”が可能になります。
特にフィールドモニターが活躍する撮影シーン
フィールドモニターの恩恵が大きいのは、次のような場面です。
- 屋外撮影(日光下で背面液晶が見えにくい)
- Log撮影・HDR撮影(露出判断が難しい)
- マニュアルフォーカス(シビアなピント確認が必要)
- チーム撮影(監督・クライアントと画を共有)
- ワンオペ撮影(撮り直しを極力減らしたい)
特に最近のミラーレスは高解像・高ビット深度になっているため、
「撮影時に正しく判断できるかどうか」が
そのまま編集・納品クオリティに直結します。
結論:フィールドモニターは“贅沢品”ではなく“保険”
フィールドモニターは、
「あれば便利」ではなく、
「失敗を防ぐための保険」に近い機材です。
撮り直しができない現場ほど、その価値は跳ね上がります。
そして一度使うと、多くの人がこう言います。
「もう背面液晶だけには戻れない」
次の章では、
どんな撮影でフィールドモニターが本当に必要になるのかを、
用途別に整理していきます。
フィールドモニターが必要になる撮影シーン
「フィールドモニターは本当に必要?」
この問いに対する答えは、撮影スタイルによって変わります。
ただし、ある条件が揃うと
“無いほうがリスク”になる
のも事実です。
ここでは、フィールドモニターの効果を強く実感しやすい撮影シーンを整理します。
一眼・ミラーレスでの動画撮影
現在主流のミラーレス一眼は、
高解像・高ビットレート・Log撮影が当たり前になっています。
しかし、その性能を背面液晶だけで正しく判断するのは正直かなり難しい。
- Log撮影で露出が合っているか分からない
- ピントが合っている「つもり」になる
- 屋外だと画面が反射して見えない
こうした状態で撮影を続けるのは、
「勘に頼った撮影」になりがちです。
フィールドモニターがあれば、
ピーキング・波形・フォルスカラーなどを使って
“数値と視覚で確認しながら撮る”ことができます。
Vlog・YouTube撮影(ワンオペ)
ワンオペ撮影では、
「撮り直しができない」という前提で機材を組む必要があります。
特に、
- カメラを三脚に置いて自分が出演する
- 画面を確認しづらい位置から撮る
- 屋外・移動しながら撮影する
といったケースでは、
フィールドモニターがあるかどうかで安心感がまるで違います。
「帰ってから確認したらピントが甘かった」
これを防げるだけでも、導入する価値は十分あります。
屋外・ロケ撮影
屋外撮影では、
カメラ背面液晶はほぼ役に立たないことも珍しくありません。
直射日光下では、
- 画面が暗く見える
- コントラストが判断できない
- 露出オーバーに気づけない
結果として、
「白飛びしていることに気づかず撮影を続ける」
という事故が起こります。
高輝度(1000nits以上)のフィールドモニターがあれば、
屋外でも画面を正確に確認でき、
露出判断のミスを大きく減らすことができます。
チーム撮影・クライアント立ち会い
複数人での撮影では、
「今どういう画が撮れているか」を
その場で共有できるかどうかが重要です。
フィールドモニターがあると、
- 監督やディレクターがその場で確認できる
- 構図・演出の修正を即判断できる
- クライアントとの認識ズレを防げる
結果として、
現場の意思決定が早くなり、撮影がスムーズに進みます。
結論:フィールドモニターは「撮影条件が厳しいほど効く」
フィールドモニターが真価を発揮するのは、
- 屋外
- Log撮影
- ワンオペ
- 撮り直し不可
といった、失敗が許されない条件が重なるときです。
次の章では、
「どのフィールドモニターを選べば失敗しないのか」
を具体的なチェックポイントで解説していきます。
フィールドモニターの選び方【失敗しない7つのポイント】
フィールドモニター選びで失敗する人の多くは、
「なんとなく良さそう」「価格」「レビュー評価」だけで決めています。
ですが、現場で本当に重要なのは
「自分の撮影条件に合っているか」。
ここでは、購入前に必ずチェックしておきたい7つのポイントを
現場目線で解説します。
① サイズ|5インチか7インチか
まず迷うのがサイズ。
主流は5インチと7インチです。
- 5インチ:軽量・コンパクト/ジンバル・ワンオペ向き
- 7インチ:視認性が高い/フォーカス確認が楽/チーム撮影向き
「とりあえず最初の1台」なら5インチ。
「現場でしっかり確認したい」なら7インチ。
サイズはそのまま重量・取り回しに直結するので、
“持ち出す頻度”を想像して選ぶのがコツです。
② 解像度とパネル品質|フルHDで十分、でも“質”が重要
現在のフィールドモニターは、
1920×1080(フルHD)が主流。
4K表示対応モデルもありますが、
モニタリング用途であればフルHDで困ることはほぼありません。
それより重要なのは、
- 発色の自然さ
- 視野角の広さ
- コントラストの見やすさ
スペック表の数字よりも、
「実際にどう見えるか」を重視すべきポイントです。
③ 明るさ(nits)|屋外撮影なら最重要項目
明るさはnits(ニト)で表されます。
目安としては、
- 屋内中心:500〜800nits
- 屋外撮影あり:1000nits以上
直射日光下では、
500nitsクラスだと正直かなり厳しいです。
「屋外で使う可能性が1%でもあるなら、高輝度を選ぶ」
これが後悔しない選択です。
④ 入力端子|HDMIかSDIか
入力端子は、将来の撮影スタイルにも影響します。
- HDMI:ミラーレス・一眼中心。軽装備向き。
- SDI:業務・放送・長距離配線。信頼性重視。
今はHDMIでも、
今後シネマカメラや業務案件を考えているなら
SDI対応モデルを視野に入れてもOKです。
⑤ モニタリング機能|最低限ほしいのはこの3つ
機能は多ければ良いわけではありません。
最低限ほしいのはこの3つ。
- フォーカスピーキング
- ゼブラ or フォルスカラー
- LUT表示
これがあれば、
ピント・露出・色の判断で大きなミスは起きにくくなります。
⑥ 電源・バッテリー方式|現場で詰まないために
多くのフィールドモニターは
NP-F(Lシリーズ)バッテリーに対応しています。
ただし注意点として、
- 高輝度モデルは消費電力が高い
- 無線機能付きはバッテリー消耗が早い
予備バッテリーを含めて、
「何時間回せるか」を事前に想定しておくことが重要です。
⑦ 重量・取り回し|結局“使わなくなる”最大の原因
最後に、意外と見落とされがちなのが重量と装着感。
どれだけ高性能でも、
- 重い
- バランスが悪い
- ケーブルが邪魔
こうなると、
「今日はいいか…」と持ち出さなくなります。
“毎回使う機材”になるかどうか
ここを想像しながら選ぶのが、失敗しない最大のコツです。
次の章では、
これらのポイントを踏まえたうえで、
用途別におすすめできるフィールドモニターを紹介します。
用途別|フィールドモニターおすすめモデル
フィールドモニター選びで一番やってはいけないのが、
「ランキング上位だから」「有名だから」という理由だけで選ぶこと。
本当に大事なのは、
自分の撮影スタイルと“噛み合っているか”です。
ここでは、実際の現場でよくある用途別に、
相性の良い代表的モデルを紹介します。
初心者・最初の1台におすすめ
はじめてフィールドモニターを導入するなら、
軽くて・分かりやすくて・屋外でも見えるモデルが正解です。
- 5インチ前後
- 高輝度(1000nits以上)
- ピーキング/ゼブラ/LUT対応
この条件を満たす定番が
Atomos Shinobi II。
操作が直感的でクセが少なく、
「とりあえずこれを付けておけば安心」というタイプの1台です。
最初のモニターで失敗したくない人には、まずここから。
Vlog・YouTube・ワンオペ撮影向け
ワンオペ撮影では、
確認のしやすさ=撮影の安定感になります。
重要なのは、
- 軽量で持ち出しやすい
- 屋外でも画面が見える
- セッティングに手間がかからない
この用途でも
Atomos Shinobi II は非常に相性が良く、
VlogやYouTube撮影で使っている人も多いモデルです。
「帰ってから確認したらピントが甘かった」
この事故を防げるだけで、導入する価値があります。
映像制作・チーム撮影向け(現場確認重視)
ディレクター・カメラマン・クライアントなど、
複数人で画を確認する現場では、
視認性と信頼性が最優先になります。
- 7インチクラス
- 広い視野角
- 波形・ベクトルなどの測定系
この用途で評価が高いのが
SmallHD Indie 7。
操作性が非常に良く、
「モニターの操作で迷わない」という点が現場では大きな武器になります。
仕事として映像を撮る人向けの1台です。
屋外ロケ・日中撮影が多い人向け(高輝度重視)
屋外撮影が多いなら、
スペック表より“輝度”を見てください。
- 1000〜2000nits以上
- 直射日光下でも視認可能
コスパ重視でこの条件を満たす代表例が
FEELWORLD LUT6S。
UIや質感に好みは分かれますが、
「とにかく外で見える」という一点においては強力です。
屋外メインの人には現実的な選択肢。
モニター+収録もしたい人向け
「モニターだけでなく、バックアップ収録もしたい」
そんな人には、モニターレコーダーという選択があります。
代表的なのが
Atomos Ninja / Ninja Ultra。
モニタリングしながら、
ProResなど扱いやすいフォーマットで収録できるため、
編集ワークフローをシンプルにしたい人に向いています。
ただし、
- 本体が重い
- バッテリー消費が大きい
というデメリットもあるため、
「本当に録画が必要か」は一度考えてから選びましょう。
無線モニタリングをまとめたい人向け
ケーブルを減らし、
画をワイヤレスで共有したい場合は
無線送受信一体型という選択肢もあります。
代表例が
Hollyland Mars M1 Enhanced。
モニターと無線伝送を1台でまかなえるため、
小規模チームや簡易現場では非常に便利です。
ただし、無線は
- 遅延
- 電波環境
- バッテリー消費
の影響を受けるため、
用途を限定して使うのが現実的です。
次の章では、
フィールドモニター購入でよくある失敗例と注意点を整理します。
「買ったけど使わなくなった」を防ぐための話です。
フィールドモニター購入でよくある失敗例と注意点
フィールドモニターは、
正しく選べば撮影の精度を大きく上げてくれます。
一方で、選び方を間違えると
「結局使わなくなった機材」にもなりやすいのが正直なところ。
ここでは、現場で本当によく見る失敗例と、
購入前に知っておきたい注意点をまとめます。
失敗例① 明るさ不足で屋外では見えなかった
もっとも多い失敗がこれです。
室内では問題なく見えていたのに、
屋外ロケに出た瞬間、画面がほぼ確認できない。
原因の多くは、
輝度(nits)が足りていないこと。
屋外撮影が1回でもあるなら、1000nits以上
これは最低ラインとして覚えておいたほうが安心です。
失敗例② サイズが大きすぎて持ち出さなくなった
「画面は大きいほうが見やすいだろう」
そう思って7インチ以上を選んだ結果、
- 重い
- バランスが悪い
- ジンバルに載らない
といった理由で、
結局現場に持って行かなくなるケースも少なくありません。
フィールドモニターは、
「毎回使われてこそ意味がある機材」。
使用頻度を想像して、
5インチか7インチかを冷静に選びましょう。
失敗例③ 機能が多すぎて使いこなせなかった
スペック表を見ると、
「波形・ベクトル・False Color・HDR表示…」
と魅力的な機能が並びます。
ただ、実際の現場で常用するのは、
- フォーカスピーキング
- 露出確認(ゼブラ/フォルスカラー)
- LUT表示
この3つだけ、という人も多いです。
高機能=良いモニターではありません。
「自分が使う機能が直感的に操作できるか」
これを重視したほうが、結果的に満足度は高くなります。
失敗例④ バッテリーがすぐ切れて現場で困った
高輝度モデルや無線機能付きモデルは、
思っている以上にバッテリーを消費します。
よくあるのが、
- 予備バッテリーを用意していなかった
- 何時間持つか把握していなかった
というケース。
「何時間撮影するか」「何本で回せるか」
ここまで含めて、機材選びです。
失敗例⑤ ケーブル・取り付けを軽視していた
意外と見落とされがちなのが、
HDMIケーブルや固定方法。
ケーブルが抜けやすいと、
- 映像が途切れる
- 最悪、端子を破損する
といったトラブルにつながります。
モニター本体だけでなく、
「どう取り付けて、どう配線するか」まで考えると、
現場でのストレスが一気に減ります。
結論:失敗の多くは「想像不足」から起きる
フィールドモニター選びの失敗は、
スペック不足よりも
「使うシーンを具体的に想像できていなかった」ことが原因です。
・どこで使うか
・どのくらいの時間使うか
・誰が画を見るか
この3つを想像して選べば、
大きな失敗はほぼ避けられます。
次の章では、
よくある質問(FAQ)をまとめて、
購入前の細かい疑問を解消していきます。
よくある質問(FAQ)
フィールドモニターは本当に必要ですか?
必須ではありません。
ただし、撮影の失敗を減らしたい人にとっては、
非常に効果の高い機材です。
特に、
- ピントをシビアに合わせたい
- Log撮影をしている
- 屋外撮影が多い
こうした条件が一つでも当てはまるなら、
フィールドモニターは「あったほうがいい」ではなく「あったほうが安心」な存在になります。
安いフィールドモニターでも問題ありませんか?
問題ない場合もあります。
ただし注意点として、
「安い=悪い」ではなく、「用途に合っていない」ことが問題になるケースが多いです。
例えば、屋外撮影が多いのに輝度が低いモデルを選ぶと、
結果的に使わなくなります。
価格よりも、
輝度・サイズ・必要な機能
が自分の撮影に合っているかを優先しましょう。
5インチと7インチ、どちらを選べばいいですか?
迷ったら、まずは5インチがおすすめです。
5インチは、
- 軽い
- 取り回しが良い
- ワンオペやジンバルに向いている
一方、7インチは視認性が高く、
チーム撮影や現場確認には非常に向いています。
使用頻度と撮影スタイルで選ぶのが正解です。
フィールドモニターを付けると画質は良くなりますか?
画質そのものが良くなるわけではありません。
ただし、
ピント・露出・色の判断精度が上がるため、
結果として「良い映像が撮れる確率」が上がります。
つまり、
フィールドモニターは映像を良くする機材ではなく、失敗を減らす機材です。
Log撮影をしない人にも必要ですか?
Log撮影をしない場合でも、
ピント確認や構図チェックの面では十分メリットがあります。
ただし、
- 室内のみ
- AF任せ
- 趣味撮影中心
であれば、必須ではありません。
「撮り直しができないかどうか」
これが判断基準になります。
HDMIとSDI、どちらを選ぶべきですか?
ミラーレス・一眼中心なら、
HDMIで十分です。
将来的に、
- 業務案件
- 長距離配線
- 放送・イベント
を想定している場合は、
SDI対応モデルを検討しても良いでしょう。
フィールドモニターはどのくらいの予算で考えればいい?
目安としては、
- 初心者・個人:3〜6万円前後
- 業務・制作:7〜12万円前後
が現実的なラインです。
高価なモデルほど万能というわけではないので、
「自分の撮影に必要な条件」を満たすかで判断しましょう。
結局、どんな人にフィールドモニターはおすすめ?
フィールドモニターが特におすすめなのは、
- 撮影の失敗を減らしたい人
- 屋外やLog撮影が多い人
- ワンオペ・少人数で撮影している人
- 仕事として映像を撮っている人
こうした人にとっては、
価格以上のリターンがある機材です。
次はこの記事のまとめに進みます。
まとめ|フィールドモニターは「撮影の失敗」を減らすための投資
フィールドモニターは、
映像のクオリティを直接上げる魔法の機材ではありません。
ですが、
ピント・露出・色・構図の判断ミスを減らすという点では、
撮影結果に与える影響は非常に大きい機材です。
特に、
- 屋外撮影がある
- Log撮影をしている
- ワンオペで撮影している
- 撮り直しができない現場がある
こうした条件が当てはまる人にとって、
フィールドモニターは
「あれば便利」ではなく「無いと不安」な存在になります。
選ぶ際は、
- サイズ(5インチか7インチか)
- 明るさ(屋外なら1000nits以上)
- 必要なモニタリング機能
- 重量と取り回し
この4点を押さえるだけで、
大きな失敗はほぼ避けられます。
高価なモデルを選ぶことが正解ではありません。
「自分の撮影スタイルに合っているか」
これが一番大切です。
この記事で紹介したモデルは、
いずれも実際の現場で使われている定番クラス。
ここから先は、
「どれが自分の撮影に一番合うか」を基準に、
商品ページやレビューを見ながら絞り込んでみてください。
フィールドモニターを導入すると、
撮影中の迷いが減り、
結果として編集・納品までが楽になります。
それは、機材以上に大きな価値かもしれません。
2025.05.11
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