
こんにちわ、合同会社トビガスマル代表の廣瀬です。
突然ですが、「ライブ配信で商品がどんどん売れていく」──そんな動画、見たことありませんか?
ライブコマースは、いま大都市のブランド企業だけの話ではありません。
むしろ、地域に“こだわりの商品”や“語れる人”がいる地方こそ、この波に乗るチャンスがあると、私たちは感じています。
この記事では、日本のライブコマース市場の最新動向から、地方事業者が知っておきたい成功のポイント、そして具体的な事例や課題克服のヒントまでを、“現場目線”でわかりやすく解説します。
「ネットで売るのは難しい」と感じていた商品が、“顔の見える配信”で一気に動き出すかもしれません。
ぜひ、ライブコマースという新しい販路の可能性を探ってみてください。
目次
日本のライブコマース市場:現状と成長の背景
ライブコマースは「ライブ配信×EC(電子商取引)」を掛け合わせた販売手法。 中国では数年前から爆発的に広まり、いまや月数兆円規模の産業へと成長しています。
一方、日本でもようやくここ数年で市場が立ち上がり、「テレビ通販の次世代版」として注目を集め始めています。
ライブコマース市場規模の推移
日本国内のライブコマース市場は、2020年時点で約300億円と推定されていましたが、 その後コロナ禍を背景に加速度的に成長。2023年には約800億円、2025年には1000億円を突破すると見られています。
特に食品、コスメ、アパレル、雑貨など“説明が必要”で“魅力を伝えやすい”ジャンルで導入が進んでいます。
成長を牽引する要因
日本でライブコマースが広がってきた背景には、いくつかの変化があります。
- スマホ視聴の定着: 誰もが動画を観て買い物する時代に
- リアルイベントの制限: コロナ禍で「非対面販売」の需要が急増
- “人から買う”安心感: ただのECより“顔が見える接客”が好まれる傾向
地方の生産者にとっては、これまで展示会や物産展に出向かなければ伝えられなかった魅力を、 スマホ一台・店舗や作業場からでも届けられる環境が整ってきたのです。
今後の市場規模予測
大手コンサル会社の予測では、日本のライブコマース市場は2026年には2000億円超に達するとも言われています。
特に注目されているのが、
- 自治体・道の駅・農業団体などによる「地域物産の発信」
- 外国人観光客向けのライブコマース(インバウンド越境EC)
つまり、“地方の一次産業や観光業にとって、ライブコマースはこれからの販売の選択肢”として現実味を帯びてきています。
ライブコマース成功の鍵:プラットフォームと戦略
ライブコマースを導入するといっても、ただライブ配信を始めれば売れるわけではありません。
成功のためには、「どこで配信するか」「どう伝えるか」「誰に話してもらうか」といった基本戦略を押さえる必要があります。
最適なプラットフォームの選択
ライブコマースを行うには、どのプラットフォーム(配信媒体)を使うかが重要です。
代表的な選択肢は以下の通り:
- Instagram Live: 若年層向け。フォロワーが多いアカウントなら即効性あり
- YouTube Live: 長時間配信やアーカイブ重視型に最適。ファン化しやすい
- 楽天ライブ/BASEライブ: ECとの連携に強く、そのまま商品購入が可能
- LINE LIVE: LINE公式アカウントと組み合わせ、地域の常連客向け発信にも
地域の商品を販売する場合は、「視聴者が買いやすい動線」があるかを重視して選ぶのがポイントです。
効果的なライブコマース戦略
ライブコマースを成功させるには、内容の“段取り”が命です。
たとえば、配信の構成はこのように組み立てられます:
- オープニング: 商品の背景や“誰が”紹介しているのかを伝える
- ライブ実演: 食べる、使う、着るなど“体験”をライブで見せる
- コメント対応: 視聴者の質問にその場で答える→信頼獲得
- 特典の提示: 「この配信を見ている人だけ」限定オファーを出す
さらに、事前告知や配信後のアーカイブ活用も含めて“配信前後の設計”を行うと、より高い成果につながります。
KOL(キーオピニオンリーダー)の活用
配信者を「誰にするか」も成功を分ける大きなポイントです。
自分たちが話すのが難しい場合は、地域で信頼されている人や、地元にルーツのあるインフルエンサーに協力を依頼するのも手です。
たとえば:
- 地域おこし協力隊のメンバー
- 道の駅の名物おばちゃん
- 地元を紹介しているYouTuber
「この人が勧めるなら買ってみよう」と思わせる、“顔のある信頼”がライブコマースでは非常に大切です。
成功事例に学ぶ:ライブコマースの可能性
ライブコマースの活用は、大手企業だけの話ではありません。 けれど、大手の先行事例を見ることで、“どこに成功のヒントがあるか”が見えてきます。
ここでは、実際にライブコマースを導入し成果を上げている3社の事例を取り上げ、地方事業者が応用できるポイントを解説します。
コスメ業界の事例:資生堂の挑戦
資生堂は早くからライブコマースに取り組んでおり、2020年からInstagramや自社EC上でのライブ配信をスタート。
特徴的だったのは、
- 美容部員が登場し、実際に商品を使いながら紹介
- 視聴者の質問にリアルタイムで回答 → 信頼と共感の獲得
- “ライブ限定特典”や“試供品プレゼント”で購入を促進
“人が紹介するから安心して買える”という、ライブコマースの強みを上手に活かした事例です。 地方のスキンケア商品・化粧品でも応用できる手法といえるでしょう。
家具業界の事例:ニトリの取り組み
ニトリは、YouTube Liveでのライブコマースを通じて、「使ってみた」感覚を重視した情報発信を行っています。
ポイントは、
- 出演者が家具を実際に“置いて”“座って”“試して”見せる
- セットで買うメリットやサイズ感をリアルに伝える
- コメント欄での相談受付 → ECとリアル店舗の橋渡し
これは、地元の工芸品・木工家具などを紹介したい地方事業者にも有効です。 「見てわかる・想像できる」ライブならではの価値を感じさせる事例です。
アパレル業界の事例:ユニクロの戦略
ユニクロは、中国市場向けにRED(小紅書)やTaobaoライブでの配信を積極展開しています。
注目すべきは、
- ライブ中にサイズ・色味・着回しまで細かく説明
- 視聴者からの「これ、身長160cmなら丈どうですか?」といった質問にも即答
- 商品へのリンクをその場で表示し、スムーズに購入へ誘導
これは、アパレルに限らず地域の染織品やTシャツ、制服、オリジナルグッズ販売にも応用できる構成です。 配信者の“等身大の着こなし”が、視聴者に安心感と「自分ごと化」を促します。
このように、大手企業の成功には必ず共通するポイント=「リアル感・双方向性・即決導線」があります。
地方事業者がこれを規模感に合わせて落とし込めば、無理なく“自分たちらしいライブコマース”を展開できます。
ライブコマースの課題と克服策
ライブコマースには大きな可能性がありますが、実際に取り組もうとすると、いくつかのハードルに直面するのも事実です。
ここでは、地方事業者がつまずきやすい代表的な課題と、その克服策を具体的に紹介します。
配信者の育成
「ライブ配信したいけど、誰が話すの?」「カメラの前で話せる人がいない」──これは多くの地域で聞く声です。
ですが、必ずしも“プロのタレント”である必要はありません。
むしろ、
- 生産者自身が語る「想い」
- 地元のスタッフが伝える「使い方」
- 観光協会職員による「まちの裏話」
といった素朴な人柄とリアルな言葉こそが、視聴者の共感を呼びます。
まずは1回、練習を兼ねて短く配信してみる。 回数を重ねることで、話し方も雰囲気も、自然と育っていきます。
プラットフォームの多様化
「どの配信先を使えばいいのか分からない」という悩みもよくあります。
現実には、YouTube、Instagram、TikTok、BASEライブ、楽天ライブ、LINE LIVE…と、どんどん選択肢が増えています。
だからこそ、
- 自分たちの商品のターゲットが使っているSNSは何か?
- 商品購入までの動線はスムーズか?
- スタッフが操作できる範囲か?
といった観点で、“背伸びしないプラットフォーム”から始めることが成功のコツです。
データ分析と改善
「やってはみたけど、売れなかった」──このあと、どうするかが分かれ道です。
ライブ配信は一度の結果で判断せず、データから学び改善するサイクル(PDCA)が必須です。
たとえば:
- 視聴者数の推移 → 最初に離脱する人が多ければ冒頭演出の見直し
- コメント数や反応 → 興味が高い商品や言葉を次回に活用
- 成約率 → オファーや価格帯の調整
分析と改善の積み重ねが、“うちのライブは信頼できる”というブランドづくりにつながります。
どの課題も、最初から完璧にこなす必要はありません。 “地道にトライし、学びながら育てていく”ことが、ライブコマース成功の共通ルートです。
まとめ:ライブコマースで新たな顧客体験を
ライブコマースは、ただの「売り方」ではありません。
それは、商品や風景の“背景にあるストーリー”を伝え、お客様とリアルタイムでつながる体験型の接客でもあります。
そしてその力は、大企業だけのものではありません。
むしろ、作り手の顔が見える。土地の空気が感じられる。
そんな“人と地域の魅力が詰まった地方”こそ、ライブコマースと相性がいいと私たちは考えています。
いまある資源を、言葉と映像で届ける時代へ
農家が収穫しながら語る「育てた想い」 職人が実演しながら伝える「手しごとのこだわり」 観光地から配信される「その場の空気感」
どれも、ライブ配信でしか伝わらない、“そこにしかない体験”です。
まずは1回、試してみませんか?
大がかりな準備は必要ありません。スマホ1台、思い切って「やってみる」ことがスタートです。
もし、「やってみたいけど不安」「配信に慣れてない」という方がいれば、

私たちトビガスマルでは、地方のライブ配信支援や、ライブコマースの映像設計・実施サポートも行っています。
一緒に、あなたの地域の“伝える力”を育ててみませんか?
これからの販路は、「言葉と人を届ける力」から生まれます。 ライブコマースという新しい手法で、あなたの地域と、次のファンとをつなぐ一歩を踏み出しましょう。

この事業は、私や弊社役員が所属している新見商工会議所青年部(新見YEG)が提案し、令和7年度の新見市「公募型まちづくり事業」として採択されました。 ※このページのサムネイル画像は、本事業をプレゼンテーションした際の様子です。 日本各地で観光戦略の見直しが進む中、なぜ“いま中国”? な...
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