こんにちは。合同会社トビガスマル代表の廣瀬です。
少し前に、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』、いわゆる「ブレワイ」を初めてプレイしました。
きっかけは、忘年会のお楽しみ抽選会でSwitch2を手に入れたこと。
社内のデザイナーからは以前から、
「ゼルダやってないなんて、人生損してますよ」
と言われていました。
私は初代ゼルダ以来だったので、
「名作なのは知っているけれど、そこまで?」
くらいの気持ちでした。
ところが、実際にプレイしてみると、
これは映像制作の勉強になる。
と思いました。
2017年発売のゲームですが、私が面白いと感じたのは、グラフィックの新しさではありません。
説明しすぎない。
視線を自然に導く。
音を鳴らし続けない。
遠くまで見せる。
世界観を言葉ではなく体験で理解させる。
こうした設計です。
企業PR動画。
採用動画。
周年動画。
ブランドムービー。
Web CM。
にも、そのまま使える考え方があります。
今回は、ブレワイをプレイして私が感じた、
「説明しすぎない映像」の5つの原則
を、映像制作会社の視点から考えてみます。
結論|良い映像は「全部伝える」必要がない
企業動画を作るとき、
どうしても情報を足したくなります。
会社の歴史。
代表者の想い。
商品・サービス。
実績。
社員。
設備。
地域との関係。
理念。
未来。
全部、大切です。
だから、
「せっかく動画を作るなら全部入れたい」
となります。
でも、全部を説明すれば、
全部が伝わるとは限りません。
情報が多すぎれば、
視聴者は受け取るだけで精一杯になります。
一方で、
人の表情。
仕事をする手。
工場の音。
昔の写真。
言葉の後の沈黙。
そうしたものを少し長く見せることで、
見る人自身が意味を感じ取る時間
が生まれます。
見る人が感じるための材料を渡すものでもある。
ブレワイをプレイしていて、改めてそう感じました。
原則1|視線を「命令」せず、自然に導く
ブレワイの世界では、
「次は必ずここへ行ってください」
と常に矢印が表示され続けるわけではありません。
遠くに塔が見える。
高い山が見える。
少し先に気になる建物がある。
光。
地形。
距離。
音。
によって、
「あそこへ行ってみたい」
と思わせます。
プレイヤーは、
誰かに命令されたのではなく、
自分で決めて進んだように感じます。
これは映像でも非常によく似ています。
企業動画で「言いすぎる」とどうなるか
例えば、
> 私たちは社員を大切にしています。
> 地域とのつながりを大切にしています。
> 若手が活躍できる会社です。
と全部ナレーションで説明する。
もちろん間違いではありません。
でも、
若手社員とベテラン社員が自然に話している。
地域行事へ社員が参加している。
新人へ先輩が仕事を教えている。
そんな映像を見れば、
視聴者自身が、
> 「この会社、雰囲気が良さそうだな」
と感じるかもしれません。
言うのではなく、感じてもらう。
この違いです。
映像の目的を先に決める
ただし、
「説明しない方がおしゃれだから」
と何でも削ればいいわけではありません。
何を伝える動画なのか。
誰に見せるのか。
見た後どうなってほしいのか。
を先に決める必要があります。
そこが曖昧なまま「引き算」をすると、
単に分かりにくい動画になります。
動画制作の目的やターゲットを整理するときに確認したい項目はこちらにまとめています。
2025.06.21
結論|ヒアリングシートは「発注書」ではなく、認識をそろえるための設計図 まず、ヒアリングシートに完璧な回答を書く必要はありません。 例えば、 > 予算:まだ未定 > 公開場所:YouTubeを予定 > 尺:分からないので提案してほしい > 出演者:社長と社員を...
原則2|足す前に、一度削ってみる
映像制作では、
完成に近づくほど何かを足したくなります。
テロップ。
ナレーション。
BGM。
効果音。
説明。
実績。
キャッチコピー。
ロゴ。
「もう少し分かりやすく」
と足し続けると、
気づけば画面の中が情報だらけになります。
ブレワイをプレイして感じるのは、
何を置くかと同じくらい、何を置かないかが考えられている
ことです。
企業動画でも同じです。
例えば、
社員の表情だけで伝わるなら、
「笑顔あふれる職場です」
というテロップはいらないかもしれません。
工場の音が気持ちよく入っているなら、
最初から最後までBGMを鳴らす必要はないかもしれません。
代表者の言葉が強いなら、
さらにナレーションで説明し直す必要はないかもしれません。
「全部入れる」から「一つ残す」へ
私は企画するとき、
> この動画を見た人に、一つだけ残すなら何か。
と考えるのがいいと思っています。
例えば採用動画なら、
> 「ここで働いている人たちをもっと知りたい」
でもいい。
周年動画なら、
> 「この会社は、いろんな人に支えられてここまで来たんだ」
でもいい。
Web CMなら、
> 「なんだ、この会社?」
でもいい。
目的が一つ決まれば、
そこから遠い情報を削る判断
ができます。
原則3|アップだけでなく「引いた画」で空気を見せる
ブレワイで印象に残るのが、
遠くまで世界が見えることです。
主人公が画面の中で小さくなる。
その向こうに山がある。
塔がある。
まだ知らない場所がある。
すべてをアップで説明せず、
空間そのものを見せる
時間があります。
映像制作でも、
アップの連続だけでは、
そこがどんな場所なのか分からなくなることがあります。
例えば工場。
手元の作業。
機械のボタン。
製品。
だけを撮るのではなく、
一度大きく引いて、
人がどんな空間で働いているのか
を見せる。
採用動画でも、
社員インタビューの顔だけではなく、
オフィス全体。
社員同士の距離感。
仕事をしている背中。
休憩時間。
まで見せる。
周年動画なら、
代表者だけではなく、
社屋。
工場。
地域の風景。
社員が働いている場所。
を入れる。
そうすると、
見る人が自分でその場所を感じられます。
原則4|BGMだけに感情を任せない
私がブレワイで特に面白いと感じたのが、
音の少なさ
です。
常に壮大なBGMが鳴っているわけではありません。
風。
足音。
草。
雨。
鳥。
遠くの気配。
静かな時間の中へ、
必要なときだけ音楽が入ります。
そのため、
BGMが入ったときにも意味が生まれます。
企業動画でも、
感動させたいときほど、
壮大な曲を入れたくなります。
特に周年動画はそうです。
昔の写真。
ストリングス。
スローモーション。
大きなナレーション。
もちろん、それが合う動画もあります。
でも、
感動的な曲を入れたから、感動するわけではありません。
人の言葉に力があるなら、
言い終わった後に少し黙る。
工場の映像なら、
機械音を聞かせる。
イベントなら、
会場の拍手を残す。
地域の映像なら、
風や町の音を聞かせる。
その方が、
「そこにいる感じ」
が出ることがあります。
これは映像づくりで大切にしたいことです。
原則5|世界観は「設定」ではなく、一貫性で作る
ブレワイの世界には、
たくさんの設定があります。
でも、
世界観を感じる理由は、
設定を大量に説明されるからではないと思います。
自然。
建物。
音。
色。
人物。
世界の反応。
それぞれが同じ世界の中で一貫している。
だから、
「この世界は本当に存在している」
ように感じます。
企業動画で、
「世界観を作りたい」
というご相談もあります。
その場合、
特殊な色を付ける。
派手なCGを入れる。
おしゃれな曲を使う。
だけではありません。
もっと重要なのは、
実際の会社と映像がずれていないこと
です。
例えば、
ナレーションでは、
> 「自由で風通しの良い会社です」
と言っている。
でも社員は全員、
用意された台本を緊張して読んでいる。
これでは、
映像のトーンと内容が一致しません。
逆に、
普段の会話。
仕事中の表情。
会社の本当の空気。
を丁寧に撮った方が、
その会社らしい世界観になります。
私はその方が強いと思っています。
この「引き算」は周年動画で特に効く
トビガスマルでは、
周年動画の相談をいただくことがあります。
周年動画では、
伝えたいものが特に多くなります。
創業。
沿革。
歴代代表者。
商品。
社員。
事業。
地域。
取引先。
感謝。
未来。
50年、60年、100年の歴史があれば、
全部大切です。
でも、それを年表順に全部読み上げたら、
映像ではなく「動く会社沿革」
になってしまうことがあります。
周年動画では、
すべての出来事を説明するより、
見る人自身が会社との記憶を重ねられる余白
を残したい。
例えば、
昔の集合写真を少し長く見せる。
当時の工場写真を静かに見せる。
会長の言葉のあとに数秒間、何もしゃべらない。
社員の作業風景を説明なしで見せる。
地域の景色を挟む。
すると会場では、
> 「あ、この人懐かしいな」
> 「この工場で働いていたな」
> 「この頃は大変だったな」
と、
映像の外側で、それぞれの物語が始まります。
それも周年動画の大切な役割です。
周年動画全体の種類・構成・作り方はこちらで詳しく紹介しています。
2026.03.16
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古い写真こそ「見せすぎない」
周年動画では、
昔の写真をたくさん集めることがあります。
すると、
「せっかく集めたから全部使いたい」
となります。
でも、
100枚を短時間で次々と見せるより、
本当に意味のある一枚を長く見せる
方が強いことがあります。
例えば、
創業者と社員が5人だけ写った一枚。
初代社屋の前で撮った集合写真。
初めて導入したトラック。
昔の工場。
その写真に、
説明をたくさん重ねなくてもいい。
見る人が知っている写真なら、
それだけで記憶が動きます。
写真だけで周年動画を組み立てる方法については、こちらで詳しく整理しています。
2026.07.18
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採用動画にも「説明しすぎない」は使える
採用動画では、
つい会社説明をしたくなります。
事業内容。
福利厚生。
休日。
給与。
研修。
キャリア。
もちろん必要な情報です。
でも、
すべて動画で説明しなくてもいい。
詳細は採用ページに書けます。
パンフレットでも説明できます。
説明会でも話せます。
映像だから伝えられるのは、
人と空気
です。
朝、社員がどう出社するのか。
上司と部下がどう話しているのか。
仕事中、どんな表情をしているのか。
現場でどんな音がしているのか。
休憩中にどう過ごしているのか。
そうしたものを見せることで、
求職者は、
> 「自分がここで働いたらどうだろう」
と想像できます。
映像は、
答えを全部教えるより、
自分を重ねてもらう方が強い場合があります。
Web・YouTubeでは「もっと知りたい」を作る
Web上の企業動画も、
全部を動画だけで完結させる必要はありません。
例えば、
YouTubeで会社を知る。
↓
Webサイトで詳しく見る。
↓
社員インタビューを読む。
↓
採用ページへ進む。
↓
応募する。
という流れがあります。
この場合、
動画の役割は、
全情報を説明することではなく、次へ進みたくなること
です。
だから、
「一本に全部詰め込まない」
という判断もできます。
企業YouTubeを「動画置き場」にせず、Webや広報と組み合わせる考え方はこちらで紹介しています。
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結論|企業YouTubeは「再生回数を競う場所」ではない 個人クリエイターと企業では、YouTubeを使う目的が違います。 もちろん再生回数は多い方がうれしい。 チャンネル登録者も増えてほしい。 でも、企業にとってYouTubeそのものが商品ではありません。 例...
ただし「引き算=説明不足」ではない
ここは注意が必要です。
映像の世界では、
「余白」
「空気感」
「説明しない」
といった言葉が、
便利な逃げ道になることがあります。
何を伝えたいか決まっていない。
構成が弱い。
必要な情報が足りない。
それを、
「見る人に委ねています」
と言ってしまう。
これは違います。
引き算できるのは、何を伝えるかが決まっているからです。
残すものが決まっているから、
他を削れる。
視聴者に感じてほしいことが分かっているから、
あえて説明しない。
ここを間違えると、
「おしゃれだけど何の動画か分からない」
になります。
映像を作る前に確認したい5つの質問
ブレワイをプレイして改めて考えたことを、
企業動画用のチェックリストにするとこうなります。
| 確認すること | 質問 |
|---|---|
| 目的 | この動画を見た後、どうなってほしい? |
| 主題 | 一つだけ残すなら、何を伝えたい? |
| 説明 | そのテロップやナレーションは本当に必要? |
| 体験 | 言葉ではなく、映像や音で感じてもらえない? |
| 余白 | 視聴者自身が考えたり思い出したりする時間がある? |
映像編集の最後に、
「何を足そう?」ではなく「何を外せる?」
と一度考えてみる。
それだけで、
映像が変わることがあります。
トビガスマルが映像制作で大切にしたいこと
映像制作会社なので、
きれいな映像を撮る。
きちんと音を録る。
編集する。
もちろん、それは仕事です。
でも、
映像の価値は、
カメラの性能だけでは決まりません。
派手な演出でも決まりません。
その会社。
その人。
その場所。
にしかないものを見つけて、
どこまで見せるか。
どこまで言葉にするか。
どこをあえて残すか。
を考える。
ブレワイをプレイしていて、
改めてその大切さを感じました。
でも、伝えるべきものは削らない。
このバランスが、
企業動画でも、
周年動画でも、
ブランドムービーでも、
非常に重要だと思っています。
まとめ|「何を見せるか」より「何を感じてほしいか」
ブレワイから学んだ映像制作の考え方をまとめると、
1. 視線を命令せず、自然に導く
2. 足す前に、一度削る
3. 引いた画で場所と空気を見せる
4. BGMだけに感情を任せない
5. 世界観は一貫性で作る
です。
どれも、
映像を派手にする方法ではありません。
むしろ、
派手にしなくても伝わる状態を作る方法
です。
映像制作では、
何を撮るか。
どんな曲を使うか。
どんな演出をするか。
を考えます。
でも、その前に、
を考える。
そこが決まれば、
必要なものと、
いらないものが見えてきます。
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は、
私にとって、
「説明しなくても、人は感じることができる」
ということを改めて考えさせてくれる作品でした。
そしてそれは、
企業や団体の映像を作るときにも、
忘れたくない考え方です。
企業動画・周年動画をご検討中の方へ
トビガスマルでは、
会社紹介動画。
採用動画。
ブランドムービー。
Web CM。
周年動画。
式典オープニング映像。
などを制作しています。
「会社のことを全部説明する動画」ではなく、
本当に伝えるべきものを見つけ、届く形にする。
そこから企画します。
特に周年では、
歴史。
社員。
OB・OG。
地域。
昔の写真。
会社の転機。
など、たくさんある素材の中から、
何を残すのかを一緒に整理します。
周年事業全体の進め方についてはこちらをご覧ください。
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