
こんにちは。クセつよ映像制作会社 トビガスマル 代表の廣瀬です。
「ヒアリングシートって本当に必要? 口頭で打ち合わせれば十分では?」
――そう思って動画制作を始め、途中でコンセプトが迷子になった経験はありませんか?
ヒアリングシートは、発注側と制作側が“同じゴール”を共有するための羅針盤。
目的・ターゲット・予算・スケジュール・参考イメージ――
たった1枚に“決めごと”を明文化しておくだけで
と、制作フロー全体をスムーズに進められます。
本記事では
1. ヒアリングシートが動画成功を左右する理由
2. 動画制作前に準備すべき3ステップ
3. 必須項目と書き方のコツ
4. ヒアリングシート提出後の実務フロー&効果測定
を制作実績をもとに解説。
この記事を読み終える頃には、ヒアリングシートが“単なる書類”から“成功への近道”に変わるはずです。
目次
なぜヒアリングシートが動画制作の成功を左右するのか
ヒアリングシートの役割と目的
ヒアリングシートは「企画書」と「指示書」を兼ねるドキュメントです。
発注側が叶えたいゴールを言語化し、制作側は必要な情報を漏れなく回収するーーこの双方向の目的を 1 枚に集約します。
- 企画書機能 …… 目的・ターゲット・訴求ポイントを決定
- 指示書機能 …… 撮影可否・権利関係・納品仕様を明文化
- 契約補助機能 …… 料金・スケジュール・修正回数を合意
ヒアリングシートが重要な理由
- ブレ防止
─ 制作途中で「やっぱり TikTok 用に縦動画も…」が発生しても、目的と優先度をシートで再確認して判断できる。 - コスト予測
─ ロケ日数・キャスト人数・BGM 著作権料など見積りの根拠が明快→追加費用トラブルが激減。 - 社内決裁の時短
─ マーケ担当→上司→法務へのレビューを1 枚 PDFで回せるため、承認フローが最短化。 - 効果測定との連動
─ 再生数・CVR などKPI 設定を初期段階で書き込むため、公開後の分析と PDCA が取りやすい。
口頭ヒアリングだけでは不十分?
オンライン会議の議事録だけでは「言った/言わない」の齟齬が起こりがち。
特に動画制作は①著作権、②肖像権、③BGM使用許諾など法的チェックポイントが多いため、紙(データ)に残る確定情報が不可欠です。
情報カテゴリ | 口頭ヒアリング | ヒアリングシート |
---|---|---|
動画目的・KPI | 言質は取れるが曖昧 | 数値で固定 |
予算・納期 | 概算 | 確定金額/日付 |
権利関係 | 漏れがち | 使用可否を明文化 |
修正回数 | 後で揉める | ◯回までと明記 |
結論:ヒアリングシートは「あとで揉めないための保険」であり、「最短ルートで完成させるナビゲーター」。
ここを丁寧に作れば、制作スピード・コスト・クオリティすべてが底上げされます。
動画制作を始める前に準備すべきこと
① 動画制作の目的を明確にする
ヒアリングシートの最上段は「なぜ作るのか」。ここが曖昧だと企画が迷走します。
代表的な目的は次の 4 つ。必ず1 つに絞るか、プライオリティを順位付けしましょう。
- ① 認知向上 ─ TVCM・SNS広告・店頭サイネージ
- ② 商品理解 ─ サービス紹介・How-to チュートリアル
- ③ コンバージョン ─ LP 埋め込み・広告リマーケ用
- ④ 社内教育/採用 ─ 研修・会社紹介・リファラル施策
目的が決まればKPI(再生数/CTR/CVR など)が自動的に決まり、後工程の台本や演出もラクに。
② ターゲット層を絞り込む
項目 | 良い例 | 悪い例 |
---|---|---|
年齢・性別 | 25~34 歳・女性 | 20~50 代全年齢 |
主な悩み | 子供の食育に時間が取れない | 忙しい |
視聴環境 | スマホ縦持ち=サウンドオフ | オンライン |
ターゲットを絞り切るほど、キャッチコピー・尺・テロップサイズの意思決定が速くなり、後から
「結局だれに向けた動画?」と作り直すリスクを潰せます。
③ 参考動画やイメージを収集する
Shotdeck / Vimeo / TikTok などから「この色味が好き」「このテンポ感が近い」と思う動画を 3〜5 本 ピックアップ。
ヒアリングシートにURL と“好きなポイント”を添えて貼るだけで、制作側のイメージ共有が一気に高速化します。
- 映像トーン(明るい/シネマチック/TikTok っぽい)
- 編集リズム(0.5 秒カット/ゆったり 8 秒カット)
- テロップスタイル(縁取りフォント/モーショングラフィック)
POINT: 良い例だけでなく「絶対に嫌だと思う例」も 1 本添えると、NG テイストが明確になり修正工数が激減します。
ヒアリングシートに記載すべき必須項目
① 動画の目的とターゲット層
ヒアリングシート最重要ブロック。目的=KPI、ターゲット=演出を決める羅針盤です。
例:
項目 | 記入例 | 制作側メリット |
---|---|---|
目的 | LP直帰率を20%→15%へ改善 | 尺・構成・CTAが明確になる |
ターゲット | 30代共働き夫婦/子1人/スマホ視聴 | 縦動画+15秒以内フックを設計 |
② 予算と納期
「上限いくら?」「いつまで?」を数値で固定。
ここが曖昧だと撮影ロケ数やCG量が決められず、結果的に追加費用が発生します。
- 総予算 … 110 万円(税別)/交通費・スタジオ代込み
- 分割 … 着手 30%・初稿 40%・納品 30%
- 公開希望日 … 2025/09/30(LP ローンチ同日)
③ 参考動画とイメージ
「言語化が難しい」部分をビジュアルで伝える欄。
URL・好きなポイント・NG 例の 3 点セットで書き込むと、デザインすり合わせが 1/2 に短縮できます。
種別 | リンク | 好き/嫌いポイント |
---|---|---|
好き | https://youtu.be/xxxx | 青系トーン/0.5 秒カット/BGM 無し |
NG | https://youtu.be/yyyy | 過度なテロップ/アニメ効果音 |
④ 使用媒体・納品仕様
同じ4 Kでも 横16:9/縦9:16/1:1 で構図が大きく変わります。
納品コーデック・ファイル容量の指定も忘れずに。
- 媒体 … YouTube メイン/TikTok 切抜き
- 解像度 … 3840×2160(横)+1080×1920(縦)
- コーデック … H.265 / 50Mbps / BT.709
⑤ 権利・注意事項
「社内ロゴ×」「自社BGM OK(楽曲ID記載)」など具体的に記載してトラブルを未然に回避します。
まとめ:必須 5 項目を漏れなく書けば、初回打ち合わせから「追加質問ゼロ」で進行可能。
次章では、ヒアリングシート提出後に制作がどう流れるかを時系列で見ていきましょう。
ヒアリングシートを活用したスムーズな動画制作
① ヒアリングシート提出後の流れ
- 制作会社側で内容精査(1〜2営業日)
─ 不明点・追加素材の有無をリスト化し、初回ミーティング用アジェンダに落とし込む。 - キックオフ MTG(60分)
─ ヒアリングシートを画面共有しながらズレを最小化。
─ その場で仮スケジュール & 見積りを提示。 - 構成案・絵コンテ作成(3〜5営業日)
─ シート記載の「目的・KPI・参考動画」をベースに1〜2パターン提出。 - コンテ承認 → 撮影 / CG・編集着手
- 初稿 (V1) 提出 → 修正 → 完パケ
─ 修正回数・範囲はヒアリングシートに明記したとおりに運用。
② 制作会社とのコミュニケーション
工程 | 推奨コミュニケーションツール | ポイント |
---|---|---|
キックオフ | Zoom / Google Meet | 画面共有でシートとスケジュールを同時確認 |
進行共有 | Notion / Trello | ガントチャートでタスクと担当を可視化 |
映像レビュー | Frame.io / Vimeo Review | タイムコード付きコメントで修正指示を最短化 |
軽微な確認 | Slack / Chatwork | チャットは要件・期限を1行で明示 |
コツ:ヒアリングシートの PDF を常に最新リンクで共有し、修正履歴を残すと「最新版どれ?」問題がゼロになります。
③ 動画制作後の効果測定
ヒアリングシートで設定したKPIを、公開後すぐに追跡できる仕組みを用意しましょう。
KPI 項目 | 測定ツール | 判定基準(例) | アクション |
---|---|---|---|
平均視聴維持率 | YouTube Analytics | 50%以上 | 冒頭 15 秒のフック改善 |
CTR(サムネ) | YouTube Studio | 6〜8% | サムネ A/B テスト |
CVR(LP遷移) | GA4 / Tag Manager | 1.5% | CTA ボタン色・位置変更 |
SNS シェア数 | Xアナリティクス / BuzzSumo | 300 RT / 月 | ハッシュタグ追加 |
- 週1レポート …… 公開から4週間は週次で数値確認
- PDCAメモ …… ヒアリングシート末尾に「結果 → 次回改善点」を追記し、“生きたドキュメント”化
- 再編集ガイド …… 60秒短尺版・縦型リパーパスの要否を数値で決定
POINT: ヒアリングシートを「企画→制作→測定→改善」まで一貫して使い回すことで、次回案件のヒアリング速度と精度が飛躍的にアップします。
まとめ:ヒアリングシートで動画制作を成功させよう
ヒアリングシートは「目的・ターゲット・条件」を1枚に凝縮した設計図。
作り込みを丁寧に行うほど──
- 企画のブレが起きず、修正回数が最小化
- 見積り根拠が明快で追加費用トラブルゼロ
- 納期遅延リスクをスケジュール段階で排除
- KPI測定と次回改善がデータドリブンに
今回紹介した 5 つの必須項目(目的・ターゲット・予算納期・参考動画・使用媒体+権利)と
PDCA 用 KPI 表 を押さえておけば、制作フローは約 30 %の時短、修正コストは最大 50 %削減が現実的に狙えます。
「シート作成=面倒な書類仕事」ではなく“最初に投資すれば後がラク”と心得て、ぜひ次の案件から取り入れてみてください。
「ヒアリングシートを作ってほしい!」
そんな時は

2025.06.21
・自宅の照明環境で本当にキレイに撮れるか ・編集PCが4Kデータに耐えられるか ・ライブ配信で30分たっても熱停止しないか ――購入前の“不安要素”を全部チェックしてから、本当に必要な機材だけを賢く買えます。 本記事では〈レンタルで試す→納得して買う〉をキー...
コメント