
こんにちは、合同会社トビガスマル代表の廣瀬です。
私たちは、企業プロモーションや式典・イベントの映像制作を数多く手がけていますが、実際の撮影現場ではカメラ1台、スタッフも1人=ワンオペで挑むことも珍しくありません。映像を撮りながら写真も押さえる――そんな“ながら撮影”の毎日です。
そんな現場で、もっと安心して撮れて、なおかつ仕上がりもワンランク上げてくれる機材がないか……たどり着いたのが、Canon EOS R1でした。導入したのは2024年12月。それから半年間、企業案件から式典撮影まで、いろんな現場で使い倒してきました。
この記事では、ワンオペ撮影が多い現場で、EOS R1がどう役立ったのかを、実体験ベースでお話ししていきます。価格は正直なところ「なかなかの金額」ですが、それを上回る安心感とクオリティを実感しています。
「一人で撮るけど、妥協はしたくない」――そんなあなたに、ぜひ読んでいただきたい内容です。
目次
ワンオペ現場の課題とEOS R1導入の理由
動画と写真を同時に求められる現場では常に課題が山積みでした。たとえば、ビデオ撮影中に重要な静止画チャンスを逃す、あるいはスチール撮影に集中していると映像が疎かになるといったジレンマです。また、機材を持ち替えたり設定を変えたりする手間もあり、一人で両方を高品質にこなすのは容易ではありません。
こうした課題を痛感する中、キヤノンのフラッグシップ機「EOS R1」に期待を寄せました。“一台で動画と静止画の両立”という願いを叶えるスペックを持っていたからです。実際、EOS R1には動画録画中にシャッターを切ると高画質JPEGの連写を同時記録できる機能が搭載されています。これなら式典のスピーチ中に映像を回しつつ決定的な写真も逃さない、と考えました。
実際に手にしてまず感じたのは、その圧倒的な存在感です。1Dシリーズ伝統の一体型グリップボディはまさに“プロ機”の風格。重さはありますがホールド感に優れ、1人で扱っても不思議と苦にならない絶妙なバランス感に仕上がっています。これまで「1n」「1D」「1D Mark Ⅳ」などを経て、私にとっては4台目の1系ですが――その中でも、このEOS R1はまさに“別格”の信頼感を感じました。
現場で実感したEOS R1のAF性能(動体追従・顔瞳AF・暗所対応)
半年間の使用で、EOS R1のオートフォーカス(AF)性能には何度も救われました。被写体検出や視線入力、スポーツ種目に応じたアクション優先検出など最新機能が盛り込まれたAFは、被写体が動いていてもあっという間にピントを合わせてくれ、まるで自分の腕が上がったかのように錯覚する精度です。イベントでは登壇者がステージ上を動き回ったり、予期せぬ動きをする場面もありますが、R1はそうした動体もしっかり追尾してくれるので安心して撮れました。
顔・瞳AFの信頼性も非常に高く、暗めの会場でもスッと人物の目にフォーカスが合います。キヤノンが最新のディープラーニングアルゴリズムを投入したことで瞳検出性能がさらに向上し、難しい条件下でも被写体をしっかり捉えてくれるとされています。実際、スポットライトがチカチカする舞台袖から人物が出てくるようなシーンでも、迷うことなく顔にピントを合わせ続けてくれました。
さらに特筆すべきは暗所でのAF性能です。スペック上は-7.5EVもの低照度まで合焦可能とのことで、ローライト環境に強いです。薄暗い照明の控室やナイトイベントでも、EOS R1は合焦を諦めませんでした。私の肌感覚でも、以前の機種では苦戦した暗いシーンで明らかに合焦が速く正確になっており、「さすがフラッグシップAF」と唸らされました。
CanonカラーとC-Log2がもたらすEOS R1の色再現性
映像制作者として色再現性も妥協できないポイントです。その点、EOS R1は“Canonカラー”の強みを存分に発揮してくれました。撮って出しの映像やJPEG写真でも肌色が自然で発色が良く、企業PR用途でも「見栄えがいいね」と言われる仕上がりになります。R1は写真も映像も同じセンサーで記録するため、スチールと動画で色味の傾向が揃いやすいのも助かりました。映像と写真を並行納品する際、色の統一感が出せるのはワンオペならではのメリットです。
また、R1から搭載されたCanon Log 2(C-Log2)にも驚かされました。C-Log2は従来より広いダイナミックレンジを持つログガンマで、キヤノン曰く約16ストップのダイナミックレンジを実現しているとのことです。実際にフラットなC-Log2で撮影してグレーディングしてみると、ハイライトのディテールやシャドウの情報量が豊富で破綻しません。最大16+ストップのダイナミックレンジが得られ、ハイライトとシャドウの細部まで保持できるのでカラーグレーディングの自由度が大きいと評価されています。私自身、難しい照明下の式典映像でも黒潰れや白飛びを抑えつつ後処理で雰囲気を整えることができ、納品クオリティをワンランク上げることができました。
加えて、キヤノン独自の色科学(カラーサイエンス)がもたらす映像の美しさも健在です。C-Log2で撮った映像を適切にルックアップ変換したとき、参加者の肌の色やイベント会場の雰囲気が記憶に近い形で再現されていて驚きました。「やっぱりキヤノンは色がいい」と再認識できる瞬間であり、これはクライアント受けする映像作りにおいて大きな強みだと感じています。
堅牢性・バッテリー・熱対策による安心感
ワンオペ撮影では機材トラブルが即仕事の失敗に直結します。そのため、機材の信頼性は何より大事です。EOS R1を使い始めてまず感じたのは、その堅牢性と安定動作による圧倒的な安心感でした。マグネシウム合金ボディの剛性感、防塵防滴シーリングの安心感、シャッター耐久性能など、全てがプロ仕様です。海外レビューでも「EOS R1の性能は驚異的で、高速で頑丈、信頼性が高く、長時間の連続撮影にも耐えられる」と評されています。実際私も屋外イベントで突然の小雨に見舞われましたが、R1は動じず最後まで撮影をやり遂げました。過酷な現場でも「このカメラなら大丈夫だ」という絶対的な信頼を置けるのは心強いものです。
バッテリーの持ちも抜群でした。EOS R1は大容量のLP-E19バッテリーを使用し、公称で約700枚(ファインダー使用時)~1300枚(モニター使用時)撮影可能とされています。しかし体感ではそれを大きく上回る持続力がありました。連続撮影しても1日余裕でバッテリーが保ち、交換の手間で慌てることがほとんどありません。
連写テストで約8,845枚撮影した時点でバッテリーが空になるケースもあった一方で、別の条件下では9,784枚の撮影を終えた段階でも26%のバッテリーが残っていたケースも。実際の駆動時間には使用状況の差があるものの、いずれも非常に優秀な持ちといえます。私の運用(スチールと動画混在)では、1本で終日撮影できたことが何度もありました。「バッテリー切れの心配をしなくて良い」というのはワンオペにとって大きな精神的余裕になります。
さらに、長回しの熱停止(オーバーヒート)が起きにくい点も見逃せません。4Kや6Kなど高解像度動画を長時間記録するとき、従来機ではオーバーヒートによる強制停止が不安要素でした。EOS R5などで苦い経験をした方もいるでしょう。ですがEOS R1は大型ボディゆえの放熱性能もあってか、私の半年間の運用では一度も熱による強制停止に遭遇しませんでした。スペック上も4K30pなら無制限で録画可能、4K60pでも約109分連続記録でき、短いイベントなら途中休憩なしで最後まで走り切れます。夏場の屋外取材でもヒヤヒヤせずに済みそうです。
100万円超のフラッグシップ、その価値は?
正直、Canon EOS R1の価格を初めて見たときは、心の中で「うわ…」と声が漏れました。
ボディだけで100万円超。小さな制作会社にとっては、かなり思い切った買い物です。軽くMacBook Proが2〜3台買えてしまうレベル。
でも、半年間現場で使い続けた今、こう言えます。
「あの時、無理してでも買っておいて本当に良かった」と。
何が変わったかというと、
まず、ピント外しや機材トラブルの不安から解放されたことで、目の前の演出や構図づくりに集中できるようになりました。
AFはとにかく速くて正確。写真も映像も同時に押さえるようなタイトな現場でも、R1が全部“うまくやってくれる”安心感があるんです。
そして何より大きかったのが、クライアント様の反応です。
「映像がすごく綺麗ですね」「写真の色味が自然でいい感じ」――
そう言っていただけることが、明らかに増えました。
肌色が美しく、色乗りも豊か。納品した映像や写真が、期待以上の仕上がりに見えるというのは、R1のCanonカラーと画質の力が大きいと思っています。
高価な買い物でしたが、それによって仕事の質が上がり、信頼も高まり、次のご依頼につながる。
そう考えると、R1は単なる「高性能なカメラ」じゃなくて、“信用を生む道具”だったのかもしれません。
たしかに贅沢なカメラです。でも、人を喜ばせる仕事をしている以上、道具にはちゃんと投資するべきだと、R1が教えてくれました。

メモリーカードは、撮影の快適さや品質に大きな影響を与えるカメラマンの影の立役者です。選び方を誤ると、高性能なカメラを持っていてもその実力を発揮できないことがあります。 この記事では、カメラ愛好家の皆さんと同じ視点で、私が抱いた疑問をひとつひとつ解き明かしながら、メモリーカード選びの重要...
コメント