こんにちは、クセノツヨイ映像制作会社「トビガスマル」代表社員の廣瀬です。
近年、動画コンテンツの普及に伴い、著作権に関する問題も増えてきています。クリエイターとして、自分の作品を守るためには、著作権の知識と適切な対策が不可欠です。
この記事では、動画の著作権を守るための基本的なガイドラインを詳しく解説します。自身の作品を保護し、他者の著作権を尊重するために、どのようなポイントに注意すべきかを学びましょう。これからのデジタル時代において、安心してクリエイティブな活動を続けるための重要な情報をお届けします。
動画の著作権を守るためのガイドライン
著作権法の基礎知識
著作物とは、創作性が認められる作品のことであり、文学や音楽、映画などが含まれます。動画もこれに含まれます。具体的には、映画、アニメ、ドラマ、ドキュメンタリー、ミュージックビデオ、ゲーム実況動画、ライブ配信など、様々な形態の動画が著作物として保護されます。
著作権法の歴史
著作権は、印刷技術の発展とともに生まれた概念です。18世紀初頭のイギリスで制定された「アン女王条例」が著作権法の起源とされています。この法律は、出版物の著作者に一定期間の権利を認めるものでした。その後、産業革命による技術革新や国際的な文化交流の進展に伴い、著作権法は世界各国で整備されていきました。日本では、1899年に「著作権法」が制定され、その後も時代の変化に合わせて改正が重ねられています。
著作者の権利について
著作者には著作者人格権と著作権があり、これらは著作物の創作者に与えられる権利です。著作者人格権は、著作者の氏名表示権、同一性保持権、公開権など、著作者の個性や名誉にかかわる権利です。例えば、自分が制作した動画を無断で改変されたり、自分の名前を削除されて公開されたりすることを防ぐことができます。著作権は、複製権、頒布権、貸与権、公衆送信権、翻案権など、著作物を利用する権利です。これらの権利は、著作者が独占的に保有しており、他者が無断で利用することはできません。
著作隣接権の概要
著作隣接権は、著作物の実演や録音、放送に関わる権利です。動画制作においては、音楽や映像の演奏、録音、放送など、著作物以外の要素に関わる権利も重要になります。例えば、音楽の演奏を動画に収録する場合、演奏者の実演家としての権利や、録音物の著作隣接権を考慮する必要があります。これらの権利は、著作権とは別に保護されており、権利者の許諾を得ずに利用すると、著作隣接権侵害となる可能性があります。
動画制作・配信における著作権の注意点
背景への写り込みと著作権
動画の背景に他人の著作物が写り込む場合、その著作物に対しても著作権が発生することがあります。例えば、街並みを背景に撮影した動画に、建物の外観や看板などが写り込んでいる場合、建物の設計図や看板のデザインが著作物として保護されている可能性があります。このような場合、著作権者の許可を得ずに動画を公開すると、著作権侵害となる可能性があります。特に、商業目的で動画を制作・配信する場合には、背景に写り込む著作物についても注意が必要です。
事例:街中の風景を撮影した動画の場合
例えば、街中の風景を撮影した動画をYouTubeにアップロードする場合、通行人や車両のプライバシーへの配慮だけでなく、背景に写り込む建物や看板などの著作権にも注意が必要です。特に、有名な建築物や個性的なデザインの看板などは、著作物として保護されている可能性が高いため、無断で撮影・公開しないように注意しましょう。
音楽素材の利用手続き
動画に音楽を使用する際は、該当の著作権者や管理団体(例:JASRAC)から適切な許可を得る必要があります。音楽素材には、著作権フリーのもの、ロイヤリティフリーのもの、著作権保護されているものなど、様々な種類があります。著作権フリーの音楽素材は、著作権が消滅しているか、著作権者が自由に使用を許可している音楽素材です。ロイヤリティフリーの音楽素材は、一定の料金を支払えば、自由に使用できる音楽素材です。著作権保護されている音楽素材は、著作権者の許可を得ずに使用することはできません。音楽素材の使用にあたっては、それぞれの素材の利用規約をよく確認し、適切な手続きを踏むようにしましょう。
配信プラットフォームの利用規約
各配信プラットフォームには独自の利用規約があり、それに従う必要があります。著作権についても例外ではありません。例えば、YouTubeなどの動画配信プラットフォームでは、著作権侵害の動画をアップロードした場合、アカウント停止などのペナルティが科されることがあります。また、InstagramやTikTokなどのショートムービープラットフォームでも、著作権保護の対象となる音楽や映像を無断で使用すると、動画が削除されたり、アカウントが凍結されたりする可能性があります。動画を配信する際には、各プラットフォームの利用規約をよく確認し、著作権を侵害するコンテンツをアップロードしないように注意しましょう。
国際的な著作権保護
著作権の国際的適用範囲
著作権は、ベルヌ条約などの国際条約に基づき、多くの国で保護されています。国際間での動画配信でも適用されます。例えば、日本で作られた動画を海外の動画配信サイトにアップロードする場合、その動画が海外の著作権法に抵触しないかを確認する必要があります。ただし、国によって著作権法の内容や保護期間は異なる場合があります。そのため、海外向けの動画配信を行う場合には、配信先の国の著作権法についても事前に調査しておくことが重要です。
著作権侵害の実例と対策
過去の裁判例や著作権侵害事例を分析することで、どのような行為が侵害にあたるのかを理解することができます。例えば、映画の予告編を無断で動画サイトにアップロードしたり、音楽の演奏を無断で動画に収録したりすることは、著作権侵害に該当する可能性があります。著作権侵害を避けるためには、著作権に関する知識を深め、適切な利用方法を理解することが重要です。著作権侵害を疑われる動画を見つけた場合は、安易にダウンロードしたり、拡散したりしないように注意しましょう。
クロスボーダーの著作権問題
国をまたいだ著作権侵害は複雑です。国際的な法的助けを借りることが必要になる場合があります。例えば、海外の動画配
信サイトで著作権侵害が発生した場合、日本の法律だけでなく、海外の法律も適用される可能性があります。このような場合、弁護士などの専門家に相談することが重要です。また、国際的な著作権団体に相談して、解決策を検討することも有効な手段です。
よくある質問とまとめ
著作権に関するよくある誤解
著作権に関するよくある誤解には、クレジット表記や短い秒数なら問題ないといったものがあります。しかし、これらも著作権侵害になる可能性があります。クレジット表記をしていても、著作権者の許可を得ずに動画を使用することは、著作権侵害に該当する可能性があります。また、短い秒数であっても、著作権者の許可を得ずに動画を使用することは、著作権侵害に該当する可能性があります。著作権法では、引用など一部の例外規定を除き、原則として著作権者の許諾なく著作物を利用することはできません。
動画制作における著作権の基本事項
動画を制作する際にまず確認すべき著作権の基本事項は、以下の通りです。第一に、使用する素材が著作権で保護されているかどうかを確認し、保護されている場合は権利者の許諾を得ることです。第二に、権利者の許諾を得る際には、利用目的、利用範囲、利用期間などを明確に伝えることが重要です。第三に、著作権者の権利を尊重し、不正な利用は行わないようにしましょう。
今後の動画制作での注意点
動画制作・配信に関する最新の著作権法の改正内容や注意点を把握しておきましょう。著作権法は常に改正されており、新しい法律や解釈が生まれています。常に最新の情報を収集し、法令遵守を心がけることが重要です。信頼できる情報源としては、政府機関のウェブサイトや、著作権に関する専門機関の出版物などが挙げられます。
まとめ
動画の著作権に関する重要なポイントを理解し、法を遵守した制作・配信を心掛けましょう。著作権は、クリエイターの創作意欲を保護し、文化の発展を促進するために重要な役割を果たしています。著作権を尊重し、適切な利用方法を理解することで、より良い動画制作・配信環境を築くことができます。また、著作権に関する疑問点やトラブルが発生した場合は、専門家に相談することも有効です。
弊社トビガスマルでは、著作権に配慮した動画制作サービスを提供しております。クリエイティブなアイディアを法的に保護しつつ、視聴者に感動を与える作品作りをサポートいたします。動画の著作権に関するご相談や制作依頼がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。プロフェッショナルなチームが、あなたのビジョンを具現化するお手伝いをいたします。
参考
Samuelson, P. (2023). “Generative AI meets copyright”
Journal: Science, Volume 381, Pages 158 – 161
Vyas, N., Kakade, S., & Barak, B. (2023). “On Provable Copyright Protection for Generative Models”
Journal: International Conference on Machine Learning, Pages 35277-35299
Lee, K., Cooper, A. F., & Grimmelmann, J. (2023). “Talkin’ ‘Bout AI Generation: Copyright and the Generative-AI Supply Chain (The Short Version)”
Journal: Proceedings of the Symposium on Computer Science and Law
Peng, W., Yi, J., Wu, F., Wu, S., Zhu, B., Lyu, L., Jiao, B., Xu, T., Sun, G., & Xie, X. (2023). “Are You Copying My Model? Protecting the Copyright of Large Language Models for EaaS via Backdoor Watermark”
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Lucchi, N. (2023). “ChatGPT: A Case Study on Copyright Challenges for Generative Artificial Intelligence Systems”
Journal: European Journal of Risk Regulation
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