こんにちは。合同会社トビガスマル代表の廣瀬です。
今回の「トビガスマルの道具箱」は、
intime Pro-M
です。
見た目だけなら、
「片方しかないイヤホン」
です。
でも、撮影やイベントの現場では、
片方しかないことに意味があります。
カメラの音は確認したい。
スタッフからの指示も聞きたい。
司会が何を話しているかも聞きたい。
次に誰が登壇するのかも知りたい。
周囲の安全も確認したい。
こういう現場で両耳をイヤホンで塞いでしまうと、
「イヤホンの中はよく聞こえるけれど、現場が分からない」
という状態になります。
Pro-Mは、その逆です。
これが、このイヤホンの価値だと思います。
今回も、
明日の現場に、持っていくか。
という基準で見ていきます。
結論|Pro-Mは「いい音を楽しむ」より「現場の情報を逃さない」ためのイヤホン
最初に結論です。
intime Pro-Mの良さは、
単純に音質が良いことだけではありません。
一番面白いのは、
です。
撮影現場では、
一つの音だけを聞いていればいいとは限りません。
例えばカメラマンなら、
- カメラに入っている音声
- 司会者の声
- 会場の拍手
- ディレクターからの指示
- 近くにいるスタッフの声
- 周囲の状況
を同時に把握したい。
そこで、
片耳イヤホンという考え方が効いてきます。
intime Pro-Mとは
Pro-Mは、
intimeが撮影現場などでの使用を意識して作った
片耳型のモニターイヤホン
です。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 形式 | カナル型・片耳・リケーブル方式 |
| ドライバー | 10mmダイナミック+セラミックツイーターのハイブリッド構成 |
| 再生周波数帯域 | 20Hz〜45kHz |
| 感度 | 108dB/mW |
| インピーダンス | 22Ω |
| ケーブル長 | 1.3m |
| プラグ | 3.5mmステレオ L字型 |
| リケーブル端子 | Pentaconn Ear |
| 重量 | 約14.6g(ケーブル・イヤーピース含む) |
| マイク | 非搭載 |
最後の、
「マイク非搭載」
はかなり重要なので、
後ほど詳しく触れます。
一番の特徴|L/Rを一つのイヤホンで聞ける
普通のステレオイヤホンは、
左耳にL。
右耳にR。
という形で音が分かれています。
そのため、
通常のイヤホンを片方だけ外して使うと、
再生内容によっては反対チャンネルの情報を聞き逃す可能性があります。
Pro-Mの面白いところは、
L/R両チャンネルを一つの筐体から再生する
ことです。
つまり、
片耳型だからといって、
単純に左右どちらか一方だけを聞いているわけではありません。
ここがPro-Mの本質です。
なぜ撮影現場では「片耳を空ける」のか
撮影中、
カメラマンが聞きたい音はカメラの音だけではありません。
イヤホンで聞きたい音
- ワイヤレスマイクの音
- カメラに収録されている音
- ミキサーから送られてくる音
- 連絡システムからの指示
生耳で聞きたい音
- 司会者
- 登壇者
- ディレクター
- 他のカメラマン
- 会場スタッフ
- 拍手・歓声
- 周囲の人の動き
があります。
例えば、
式典を撮影している最中に、
後ろからスタッフが、
「次、集合写真です」
と言っている。
両耳を密閉していたら、
聞き逃すかもしれません。
あるいは、
壇上だけを見ていて、
すぐ横をスタッフが通っていることに気づかない。
撮影現場では、
だから片耳を空ける意味があります。
周年式典との相性がいい
トビガスマルでは、
周年式典の仕事も多く扱っています。
周年式典は、
Pro-Mのような片耳イヤホンの意味が分かりやすい現場です。
式典では、
- 司会
- 進行管理
- 映像
- 音響
- 撮影
- 来賓対応
- 会場スタッフ
が同時に動いています。
大事なのは、
全員が同じものを見ているわけではないことです。
カメラマンはファインダーを見ている。
映像担当はPCやスイッチャーを見ている。
司会は台本を見ている。
進行担当は会場全体を見ている。
だから、
音による情報共有
が重要になります。
周年式典のスタッフ配置についてはこちらで詳しく整理しています。
2026.06.18
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周年式典での使い方1|カメラマン
一番分かりやすい使い方です。
イヤホン側
- カメラへ入っている音声
- ワイヤレスマイク
- 会場PAから送られてきた音
生耳側
- 司会者
- 会場全体
- ディレクター
- スタッフからの呼びかけ
という使い分けです。
例えば、
代表挨拶を撮影しているとします。
イヤホンでは、
代表者のマイク音声が正常に収録されているか確認する。
でも反対側の耳では、
「次は来賓挨拶です」
「カメラ2、次は右側へ」
という現場の動きを把握する。
ということです。
周年式典での使い方2|映像・配信オペレーター
映像オペレーターも、
ヘッドホンの中だけを聞いていればいいわけではありません。
例えば、
周年動画上映。
映像担当は、
- 動画の音声
- 配信音声
- PCからの出力
などをモニターします。
一方で、
会場では、
- 司会者がどこまで話したか
- 会場PAから実際に音が出ているか
- 照明が落ちたか
- 進行担当からGOが出たか
も確認したい。
ここでも、
片耳を現場へ残せることには意味があります。
周年式典での使い方3|司会者へのキュー返し
ここは少し面白い使い方です。
周年式典では、
司会者へ舞台袖や進行担当から指示を出したいことがあります。
例えば、
- 「あと30秒延ばしてください」
- 「来賓がまだ着席していません」
- 「映像準備OKです」
- 「次の登壇者が変更になりました」
- 「このまま懇親会へつないでください」
など。
これをジェスチャーだけで伝えるのは、
意外と難しい。
特に、
来賓の多い式典。
会場が広い式典。
照明が暗い式典。
ライブ配信を行う式典。
では、
司会者へ音声で指示を返せると進行が安定することがあります。
司会者こそ両耳を塞ぎたくない
ただし司会者は、
- 自分の声
- 登壇者
- 会場の拍手
- 会場PA
も聞かなければなりません。
そこで、
片耳でキューを受け、もう片耳で会場を聞く
という考え方は理にかなっています。
ただしPro-M単体では「インカム」にならない
ここは非常に重要です。
Bluetoothもありません。
つまり、
Pro-Mを耳に入れただけで、
舞台袖と会話できるわけではありません。
Pro-Mは基本的に、
「聞く側」のイヤホン
として考えます。
例えば、
送信側
↓
無線受信機・インカム受信機・有線モニターなど
↓
Pro-M
というシステムが必要です。
接続できるかどうかは、
使用するインカム、受信機、ミキサーなどの
- 出力端子
- 信号方式
- 音量
- 接続仕様
を確認してください。
周年司会で使うなら「通話」より「キュー返し」と考える
周年式典の司会者に使う場合、
私は、
双方向通話
というより、
キュー返し
という発想の方が合っていると思います。
司会者が話したい相手は、
基本的には会場です。
舞台裏と会話し続けたいわけではありません。
必要なのは、
- GO
- 待って
- 延ばして
- 次へ
- 変更
といった、
短い情報です。
周年式典では、
司会台本だけでなく、
進行表で映像・音響・登壇者・スタッフの動きを共有することが大切です。
2026.05.01
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Pro-Mのような片耳モニターを使うなら、
この進行表と連動させて、
「どの場面で、誰が、何を司会へ伝えるのか」
まで決めておくと機能します。
集合写真でも片耳は便利
周年式典で意外と大変なのが、
集合写真です。
100人、200人規模になると、
- 来賓を前列へ
- 役員を並べる
- 社員を後方へ誘導する
- 左右を詰める
- 背の高い人を後ろへ
など、
複数スタッフが動きます。
撮影者はカメラを見ながら、
「もう少し右へお願いします」
「前列、少し詰めてください」
と声を出す。
同時に、
スタッフから、
「来賓が一人まだ来ていません」
という情報が来るかもしれません。
こんなときにも、
という使い分けができます。
周年式典の集合写真についてはこちらで詳しく紹介しています。
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音声認識性を意識した設計も現場向き
Pro-Mは、
単に片耳にしただけのイヤホンではありません。
メーカーは、
複数人の声が同時に再生されたときでも、
誰が何を話しているのか聞き分けやすくすること
を意識して設計しています。
撮影現場の連絡系では、
音楽鑑賞とは違い、
「いい声」
ではなく、
「誰が何を言ったか」
が重要です。
例えば、
「カメラ1、そのまま」
「カメラ2、寄って」
「次、映像出します」
という指示が重なる。
こうした状況では、
リケーブル対応|音質より「現場復旧」のために価値がある
Pro-Mは、
Pentaconn Earを使ったリケーブル構造になっています。
オーディオ趣味の世界で
「リケーブル」と聞くと、
「ケーブルを替えて音を変える」
というイメージがあるかもしれません。
でも、
仕事道具として見るなら、
私は別の部分に価値を感じます。
これです。
撮影現場では、
- ケーブルを引っ掛ける
- カメラバッグに挟む
- 椅子で踏む
- 何度も抜き差しする
- 収納時に曲げる
ことがあります。
イヤホンの故障原因として、
ケーブルはかなり現実的なポイントです。
メーカーもPro-Mのリケーブルについて、
- 断線への対応
- 現場に応じたケーブル長変更
を想定しています。
これは、
プロ用機材としてかなり正しい設計
だと思います。
1.3mというケーブル長をどう考えるか
標準ケーブルは1.3mです。
長すぎず、
短すぎず、
カメラ。
腰につけた受信機。
ポケット。
小型レコーダー。
などへつなぐには扱いやすい長さです。
ただし、
何につなぐか
によって必要な長さは変わります。
大型ミキサーから直接取る。
ラック機材につなぐ。
腰の受信機につなぐ。
では条件が違います。
だからこそ、
ケーブルを交換できる設計が生きてきます。
L字型3.5mmプラグも現場では理にかなっている
標準ケーブルは、
3.5mmステレオのL字型プラグです。
カメラや小型機材につないだとき、
ストレート型より飛び出しを抑えやすい。
バッグの中や、
体につけた受信機でも、
ケーブルへ無理な力がかかりにくくなります。
これも、
スペック表では地味ですが、
仕事道具ではこういうところが効きます。
約14.6g|HPH-MT8とは対極の現場道具
前回の道具箱では、
YAMAHA HPH-MT8を取り上げました。
HPH-MT8は、
編集室で細かく音を確認するためのモニターヘッドホンです。
一方、
Pro-Mは約14.6g。
考え方がまったく違います。
HPH-MT8
音を判断する。
- EQ
- ノイズ
- BGMバランス
- 定位
- 最終確認
Pro-M
現場情報を逃さない。
- 収録音
- スタッフ指示
- 司会
- 会場
- 周囲の状況
つまり、
です。
道具箱として考えても、
非常に役割が分かりやすい2台です。
弱点1|マイク機能はない
もう一度書きます。
したがって、
「Pro-Mを買えば、そのままインカムになる」
わけではありません。
双方向で会話したい場合は、
別途インカムシステムなどが必要です。
弱点2|接続する機器は確認が必要
3.5mmステレオプラグだからといって、
すべてのインカムや業務機器へそのまま接続できるとは限りません。
業務用機器には、
- 3.5mm
- 6.3mm
- XLR
- 専用端子
- 4極端子
などがあります。
また、
ヘッドセット用端子ではマイク信号も含まれることがあります。
購入前に、
「何につなぐか」まで確認する
ことが重要です。
弱点3|最終的な音質チェックには別の機材を使う
Pro-Mは、
現場モニターとして非常に面白いイヤホンです。
でも、
最終ミックスを片耳だけで判断するための機材ではありません。
左右の定位。
ステレオ感。
BGMバランス。
細かなEQ。
などを編集室で最終確認するなら、
両耳のモニター環境を使います。
つまり、
と考えた方が分かりやすいです。
Pro-Mが向いている人
- カメラマン
- 動画撮影スタッフ
- イベント撮影
- ライブ配信スタッフ
- 映像オペレーター
- 音響スタッフ
- 進行ディレクター
- インカムの受信音を片耳で聞きたい人
- 司会者へのキュー返し環境を作りたい人
逆にPro-Mでなくてもいい人
- 音楽鑑賞が主目的
- 両耳で音質を細かく判断したい
- イヤホン単体で通話したい
- Bluetoothが必要
- ノイズキャンセリングが欲しい
- 完全ワイヤレスが欲しい
こうした用途なら、
別のイヤホンやヘッドセットの方が適しています。
周年式典で使うなら、機材より先に「誰が誰へ何を伝えるか」を決める
Pro-Mを周年式典へ導入したからといって、
進行が自動的に良くなるわけではありません。
むしろ、
連絡ルール
の方が重要です。
例えば、
司会への連絡
進行担当だけが出す。
カメラマンへの連絡
撮影ディレクターがまとめて出す。
映像担当へのGO
進行責任者から出す。
というようにします。
全員が全員へ話しかけると、
逆に情報量が増えすぎます。
これは周年式典のスタッフ配置と同じです。
誰が何を担当するかを先に決める。
そのうえで、
Pro-Mのような道具を使います。
2026.06.18
周年式典をスムーズに進めるには、進行表や司会台本だけでなく、当日のスタッフ配置を決めておくことが大切です。 受付は誰が担当するのか。来賓を控室へ案内するのは誰か。司会者に合図を出す人はいるか。周年動画を再生する人、音響を確認する人、記録撮影を行う人は決まっているか。 こうした役割分担が曖...
トビガスマルの道具箱|intime Pro-M評価
| 評価項目 | 評価 |
|---|---|
| 現場投入度 | ★★★★★ |
| 情報の聞き取りやすさ | ★★★★★ |
| 周囲把握 | ★★★★★ |
| 装着の手軽さ | ★★★★☆ |
| 遮音性 | ★★★☆☆ |
| 持ち運び | ★★★★★ |
| ケーブル保守性 | ★★★★★ |
| 汎用性 | ★★★★☆ |
| 価格納得度 | ★★★★☆ |
| 仕事改善度 | ★★★★★ |
仕事改善度★★★★★|「よく聞こえる」ではなく「片耳を現場に残せる」
Pro-Mの仕事改善度を高く評価したい理由は、
単純な音質ではありません。
もし音質だけが目的なら、
両耳のモニターヘッドホンを使えばいい。
Pro-Mの価値は、
です。
撮影中に呼ばれる。
進行が変わる。
司会が予定より早く進む。
来賓が到着する。
次の被写体が動き始める。
現場では、
予定表に書かれていない情報が次々に発生します。
それを拾える耳を一つ残しておく。
その価値は、
スペック表だけでは分かりにくいところです。
最終判定|持っていく
理由は、
音がいいからだけではありません。
撮影。
ライブ配信。
周年式典。
記念講演。
集合写真。
現場では、
機材から聞こえてくる音だけが情報ではありません。
隣にいる人の声。
司会。
拍手。
足音。
スタッフの呼びかけ。
そうした、
「現場そのものの音」
も仕事に必要な情報です。
Pro-Mは、
その情報を遮断せずにモニター環境を作れる。
だから、
仕事道具として面白い。
まとめ|片耳イヤホンは「半分しか聞かない」ための道具ではない
片耳イヤホンと聞くと、
「両耳より情報が少ないのでは?」
と思うかもしれません。
でもPro-Mの考え方は、
その逆です。
L/R両チャンネルの情報を片耳で受け取る。
そして、
もう片方の耳から、
現場の情報を受け取る。
これが、
intime Pro-Mの面白さだと思います。
HPH-MT8が、
編集室の耳
なら、
Pro-Mは、
現場の耳。
明日の現場に、持っていくか。
持っていく。
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